
6月21日付け京都新聞夕刊社会面(7面)と対向面(6面)が、いずれも知的障害者の妊娠をめぐる話題で並んでいたのを興味深く思いました。知的障害者を取り巻く環境の違いで、正反対な対応、結果になっています。
右の女性は軽度の知的障害と注意欠陥多動性障害と、自閉スペクトラム症があるのだそうです。こぼれる笑顔からは想像もできませんね。健常者のご主人との間に可愛らしい男の子が誕生し、その子を保育所に預けてスーパーでも障害者雇用枠で勤務する共働き夫婦。保育士のお母さんが会うのは週に一回程度だけだそうです。こうした育児を可能にしているのは福祉の支援で、お母様は「仮に障害があっても、人はいろいろ。みんな苦手なことはある。助けを受ければ自立できる。そういう気持ちでいればいい」と話しておられます。
一方の7面は、昨年12月に大きく報道された北海道の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営するグループホームの理事長が、北海道から改善指導をうけた記事。25年ぐらい前から始まったというこのグループホームでは、知的障害者らが結婚や同棲を希望した時に、不妊手術の処置を受けたカップルがこれまで10組もいたことが明らかになりました。12月の報道を受けて写真の理事長は「子どもがいじめられる可能性がある。親の責任も果たせない。起こり得ることを話して(不妊手術を)選択してもらう。(出産を希望した場合は)うちは支援できない。できないことは、はっきり言う」と話しました。
そして改善指導を受けたこの日も「子どもが成長して、親があすなろの利用者だと言われたときのメンタルケアをどうするのか。心のダメージは責任を取れません」と発言。社会福祉を担っている団体の理事長の頭に、今も優生思想があると言わざるを得ません。
右のページの新米ママさんは「子育ては楽しい。幸せ」と笑顔で話しています。

夕刊を取っていない家庭が増えているので、朝刊で再度、より詳しく掲載。北海道の入居者実態調査では、約31%の人が「結婚や同居をしたいと思った」と答え、24%の人が「子どもが欲しいと思った」と答えています。障害があろうがなかろうが、人として普通のことです。
当該理事長には古い固定観念を捨てて、もっと柔軟に周辺の支援機関と連携し、福祉制度を活用しながら、できるだけ本人たちの意向を尊重したサービスを提供していって欲しいと願います。
そして、今日はもう一つ目に留まった記事がありました。

京都で起きたALS患者嘱託殺人事件は、社会に大きな問いを投げかけました。この記事終わり近くに、「生死の二者択一ではなく、生き延びる手段が社会にあるかどうか。岡部さんの尊厳をめぐる思考は、難病患者に限らず生きづらさを抱える人たちが宛先だ」とあります。問われているのは、社会のあり方です。
【6月23日追記】
京都新聞夕刊連載「育む ともに~知的障害者の結婚・出産」第2部「揺れる家族」が終わったので、2回分まとめて紹介します。
