2024年05月

5月29日夕刊
5月29日東京の最高裁判所大法廷で行われた弁論の様子は、NHKニュースでも手話通訳と字幕付きで報道されていたようです。お茶の間に流れると、「こうしたことがあったのだ」と気付いてもらえることになりますが、本来なら、もっと早くに取り上げて貰いたい事柄です。無念にも裁判の途中で亡くなられた被害者の方もおられますし、そもそも分かっているだけでおよそ25000人もの人が「不良子孫の出生防止」を目的に1948年に制定された旧優生保護法下で、1996年母体保護法に改正されるまでの間に不妊手術を受けさせられていました。裁判は起こさなくても、人知れず悩み苦しんだ被害者は多くおられるでしょう。

障害のある人やハンセン病だった人ばかりではなく、国がおこした戦争の巻き添えで孤児となった人や、そんな中でも生きていくために売春をしていた人、素行不良と判断された人など「問題」があったと判断された人なども対象でした。そして北海道の事例のように、その処理人数を誇ったかのような文章も残っています。「自分で人生決めたかった」と弁論で思いを語った被害者の無念な思いを汲んで、国には謝罪をしていただき、裁判で闘っている人はもちろんのこと、被害者全員が救済されるよう思い切った対応をして下さるよう願います。
5月30日1面
5月30日3面
5月30日社会面

他の新聞は取っていないので比較ができませんが、森 敏之記者が一生懸命書いておられる京都新聞の紙面スクラップを載せました。
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副代表でもある谷 進一監督に教えて貰って、昨夕はZoomで報告集会を拝見しました。
そのメモ書きから、いくつかを。
・国は法的安定性を言うが、うわべだけの判断だ。社会的障壁があっても当然だと言っている。
・誰もが人間としての尊厳を守れる社会に。今も仮名や匿名の人がいる。その意味を考えて貰いたい。まだ実名で訴えられないでいる方々に思いを馳せたい。
・一時金延長は認められたが、全面解決のために全力を尽くす。
・国会で決めたことなのに、「裁判所が矩を踰えている」と国は言うが、国が変わらないから裁判所が皆さんの尊厳を取り戻し、優生思想を絶えさせるためにやっている。国が差別を助長してどうする!
・裁判所は国会に縛られると言っている。これは国会を冒涜している。何で国は責任を認めないのか。(国会議員の発言)
・「戦後最大の人権侵害。この被害については除斥期間を適用しちゃいけないよね。これで受け止めないのですか?国の主張は不当だ」と新里弁護士(語気を強めて)。
・最高裁判所を国は恫喝している。
・飯塚さん「これまでの裁判年数が長かった。良い判決が出て欲しい」
・被害の事実に触れることなく法的安定性を主張する国。障害者の体にメスを入れることを大したことがないように考えている。原告の話を聞いて、そうなことを言うなんて。
・被害者が声を上げることで社会が変わる。

判決はだいたい1か月後に出るそうです。注意して見守ろうと思います。弁論に立たれた被害者の皆さん、支援者の皆さん、本当にお疲れ様でした。良い判決が出ることを待ちます‼



ずっと気になりながら、多忙で紹介できずにいるうちに、5月29日最高裁大法廷弁論の日がやってきました。
間に合わないので、取りあえず切り溜めていたスクラップを順に載せます。
5月10日1面
5月10日24面
昨年11月12日に講演して頂いた森 敏之記者さんの姿を紙面で見ました。理不尽な強制不妊手術問題を自分ごととして真剣に取り組んでおられる姿勢にいつも凄いなぁと。私ができるのは関心を持ち続けることぐらいしか…。大阪高裁でも開示命令が出たにもかかわらず、、、
5月21日1面
自ら志願して整理部に移動し、日中は裁判対応で忙しくされている森記者による入魂の連載が5月21日から開始。
5月21日三社面

5月22日3社面
5月23日
5月24日3社面 (1)
5月25日3社面
5月28日3社面
5月28日社会面
5月29日
そして、今朝の連載最終回。きっと森記者さんも最高裁大法廷弁論の場におられるのでしょう。夕べの「ニュース23」でこの強制不妊手術のことを取り上げて報じていましたが、もっと早くからこうした問題を取り上げて欲しかったと思います。ニュースを通して、「自分もこれと同じではないか?」と気付く人もおられたのではないかと思うのです。でも遅すぎることはありません。今からでも勇気を奮って名乗り出てくださればと思います。

昨年報告された国会の調査報告書によれば、被害者の最年少は9歳だったそうで、きっと意味も分からないままに受けさせられたのでしょう。お気の毒です。本人同意がない手術は65%も占めていたそうです。そういう人たちに対し、除斥期間云々というのは余りにも酷です。「最高裁の小法廷ではなく大法廷で裁判官15人全員で判決を下す」というのは異例のことらしく、優生保護法の違憲判断に加え、国に賠償を命じる判決が出るのではないかと期待が持てます。判決は夏に言い渡される見通しだそうです。

勇気をもって国に対して極めて大きな人権侵害だと訴えている人ばかりではなく、差別を恐れて行動できない人、障害の重さなどで法廷に立つことが出来ない人、手続きの難しさを思って躊躇する人もおられるでしょう。そもそも自分が当事者だと気付いていない人、いろんな人がおられるでしょうが、ひとりでも多くの被害者が救済されるよう願っています。

連載の最後が谷進一監督の新作『沈黙の50年』を取り上げていて、嬉しく読みました。完成披露の場となった5月4日神戸市での上映会後、観客の一人が「私も当事者だ。みんなの前で語ってもいい」と仰ったそうです。この映画を見て、自分と同じだと気付き、背中を押されたのでしょう。映画には人を動かす力がありますから、それに続く人が続々現れたら良いですね。

前後しますが、5月24日読売新聞夕刊に『沈黙の50年』が大きく紹介されていました。
I5月24日読売新聞夕刊8面
今日の最高裁大法廷弁論に、この映画の主人公小林寶二(たかじ)さんも立たれます。

私どもも8月18日(日)におもちゃ映画ミュージアム(京都市中京区壬生馬場町29-1)で上映会をします。まだ広報をしていないのですが、今朝から申し込みの電話を受けてびっくりしています。にわかに強制不妊手術問題のことが取り上げられるようになった社会の変化に、多くの人が気付いて下さっているのでしょう。

2021年6月6日に下之坊修子監督をお招きして佐々木千津子さんを撮ったドキュメンタリー映画『忘れてほしゅうない』を上映して、トークイベントをしましたが、今日の状況を導いた端緒になったのが広島市にお住まいだった佐々木さんでした。彼女の動きがなければ、こうした変化はもたらされなかったのかもしれないと思います。

NHKのニュースで午前中の東京と大阪の裁判の弁論が行われていた様子を報じていました。大阪の聴覚障害がある高齢夫妻の妻は「最後まで母も誰も、不妊手術を受けたことを教えてくれませんでした。手術せず、そのままの体にしてほしかったです。聞こえる人も聞こえない人も子どもを産んで育てられる幸せな生活をしたいです」と訴えたそうです。午後には札幌と仙台、神戸の原告が訴えます。小林寶二さんの訴えにも注目したいです。

そして、谷監督に教えて貰ったのですが、今日の17~18時半、優生保護法裁判、最高裁大法廷での弁論期日報告集会が京都府聴覚障害センター(城陽市寺田林ノ口11-64)で開催されるそうです。当日参加もできるそうですので、関心がある方はぜひご参加ください。無料です。






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