2022年11月

晴の特異日を選んで実施日を決めた「文化の日」の11月3日。データは裏切ることなく、秋晴れの良い天気に恵まれました。
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午前11時にNISSHA正門にお手伝いをお願いしていた皆さんに集まっていただき、守衛室では事前に連絡しておいた人数分の黄色いストラップの入館カードと午後からお越しになる参加者用の赤いストラップの入館カードを用意して待機していてくださいました。

遅れて到着組のメンバーも集まって、みんなで本館前で記念撮影。

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思いを叶えて実現するために貴重な時間を割いて集まって下さった皆さんです。本当にありがとうございました‼

早速2階の控室に集合して顔合わせ。挨拶をしてから当日の段取りを確認。それぞれ持ち場の設営へ。NISSHA様も3名の方が休日出勤して下さって対応して下さいました。何しろ国登録重要文化財を会場にしての催しですので、事前に消防署へ各種書類の作成と提出、それに消防訓練も済ませて臨んで下さいました。部外者である私どもの知らない陰でのサポートのおかげでこの日を迎えることが出来ました。

10月31日に上映の確認などのために訪問した折には、真新しい遮光カーテンがレセプションルーム全体に掛けられていました。明治時代建築の本館は、映画の上映をする構想はもとよりなかったので、春の下見の折には「その場が凌げたら段ボールを用いて塞いでも良い」と話をしていました。それが私どもの上映会に間に合うように設備を整えて下さっていたのです。ありがとうございました!!!!!
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当日はお忙しい中、NISSHAの鈴木順也社長様(右端)も見に来て下さり嬉しかったです。遮光カーテン設置はもとより、この貴重な場をお借りするのに誠心誠意ご尽力いただいたNISSHA財団専務理事/NISSHA印刷歴史館館長小西均様(左端)と一緒に記念撮影。コロナの影響もあって日本経済全体が大変な中、「できるだけよい状況を」と対応して下さったことに、心より感謝申し上げます。参加者の皆さん、貴重な場所を提供して下さったNISSHA様、熱心に手伝って下さったスタッフの皆さんに「参加して良かった!」「やって良かった!」と言ってもらえるよう頑張らなくちゃ‼ という思いを、より一層強く抱きました。
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新品の遮光カーテンの前で、鈴木社長様と『ヒゲの校長』谷進一監督。当団体の副代表も引き受けて下さっていますし、別に訪問看護師、俳優の顔も持っておられます。
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本館1階玄関を入ってすぐに設けた受付を手伝って下さった皆さん。聾者の方や、日頃から聾者の支援をされていたり、手話を学ばれている方などです。奥に見えている階段から2階に上がると会場のレセプションルームが右手にあります。
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受付の向かいには、NISSHA印刷歴史館があります。普段は予約制ですが、この日は特別に第1部開始前と、第2部開始前の2回特別に見学をさせていただきました。
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歴史的にみても印刷に関する貴重な資料が展示してあり、それらを間近で見ることが出来るまたとない機会となりました。

そして、14時からの第一部がスタート。映画が当初聞いていたより20分長い120分の仕上がりになったこともあり、第2部開始、ひいては終了時間にも影響することから、挨拶は極力短くし、小西均様、谷進一監督のお名前を読み上げるだけにとどめ、私を含めた挨拶文は別に印刷して参加者にお配りしました。

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上映後に谷監督の挨拶に続き、エンディング曲『光の音色ーいつか拡がる明日を信じてー』を歌っている4人編成の「中川由奈feat一文字鷹」に登場して頂きました。
一番左が、この日ずっと手話通訳をしてくださった北東睦美さん。
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北東さんと初めて会ったのは、2019年5月19日、全編手話映画『明日の君へ~幸せのスケジュール~』を上映した時。お友達の“”とっきー”さん(赤い帽子)と一緒に“ほっくー”さん(青い帽子)として歌と手話表現のパフォーマンスを披露して下さった時のことでした。その様子はこちらで書いています。手話に関する時には、いつも快く手伝って下さる心優しい方。11月3日も同様に助けて下さいました💗

先の写真に戻って、左から二人目の方が、『光の音色ーいつか拡がる明日を信じてー』を作詞作曲された中川真奈さん。『ヒゲの校長』では衣装担当や、出演もされたりと大活躍。その隣がバイオリンを演奏して下さった田中佑季さん、別に録音して流したピアノの演奏も彼女です。重要文化財の高い天井のレセプションルームにバイオリンの音色が響いて、それはそれは素敵な空間でした。右から二人目が中川由奈さん。とても綺麗な歌声です。そして右端が手話歌担当聾者の一文字鷹さん。このお二人はこのライブの為に遠くから駆け付けて下さいました。
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中川真奈さんの指導を受けながら、サビの部分を参加者と一緒に練習。写真は本番で皆さんが歌に合わせて手話で表現されているところ。とても良い光景で感動しました。キャパは大きい会場でしたが、コロナ感染拡大防止の為、当初各回定員50名に設定して参加者を募りました。けれども、申し込みが相次ぎ、キャンセル待ちが多くなったこともあり、途中でNISSHA様と相談して各回80名に増員して対応しました。休憩時間などは換気にも努めましたが、エアコンは音がするので本番中は止めたこともあり、日中は熱気で11月なのにやや暑くも感じられるぐらいの小春日和でした。小西さんが「私は晴れ男。絶対に晴れます!」と仰った通りの一日でした。

この日の様子は、第一部第二部に分けて動画をYouTubeで公開しています。お時間がございます時にご覧頂ければ嬉しいです。
以下に、参加いただいた方から頂戴したアンケート結果を載せます。

第一部アンケート

◎参加者の年代

20歳代1名

30歳代2

40歳代7

50歳代23

60歳代12

70歳代6

80歳代1

◎参加者の居住地

滋賀県内3

大津市1

京都市22

宇治市3

南丹市1

京都府内3

奈良市1

大阪市5

東大阪市2

寝屋川市1

高槻市3

吹田市2

池田市1

川西市3

東京都1

◎催しを知った方法

チラシ5

友人・知人から45

インターネット3

大阪市立聾学校同窓会のサイトで申し込みをしたが満席で、この上映会を紹介された1名

おもちゃ映画ミュージアムで知った2

◎催しの評価

大変良かった36

良かった16

◎評価の理由

・本も読みました。ぜひ映画を作って頂きたいと思っていました。

・校長の熱い思いが全編に一貫して表されていたのが良かった。なぜ手話の大切さを説いたのかもよく分かった。上映後の美しい歌とバイオリンの演奏も良かったです。

・少し長いと感じました。たまたま暑い日で、部屋の換気も悪く暑かった。

・手話の歴史に秘められた描写が素晴らしかった。

・手話を残すことが難しい頃のことがよくわかった。

・手話が聾者にとっていかに大切かが分かった。

・(出演者の)前田さんとは20年以上会っていない。大阪聾唖運動の時代によく旦那と麻雀やりましたね

・街中の映画館でも上映してほしいです。良い作品でした。

・デフファミリーなので、昔の手話が表現されていて良かった。文化の違いも楽しめた。映画を見て応援したいと思った。

・手話の歴史について、また教育とは何かについても考えることができました。ぜひ京都でも再上映して下さい。

・通訳者、そして聾者の友達をたくさん欲しいと思っていましたが…再挑戦したいと思いました。

・新しい経験をさせて頂き感謝です。

・口話法が主流の中、手話を守る。大切なのは目の前の子どもたちと改めて実感しました。

・メッセージが伝わりました。ありがとうございました。

・音楽も良かった。

・出演者の皆様の熱い演技に感動しました。今日見られたことを大変幸せに感じます。

・手話の歴史を知ることができて良かったです。

・聾唖のことや歴史など知らなかったことをいろいろ教えて貰えました。阿知賀等ございました。

・最後のエンディングの歌、手話パフォーマンスもとても良かったです。素敵な会場でこの映画の内容とぴったり。実在する先生像をよくわかるようにするなど素晴らしいと思いました。これからも手話映画をたくさん作って欲しいです。

・全て良かった。

・手話の歴史が少しわかりました。

・普段知らなかった世界を、いろいろ知ることができました。市中のミニシアターなどでの上映の機会があると良いなと思います。

・皆さんの努力により現在に至っていることがよくわかりました。

・手話も口語も大切、子どもひとりひとりの適正教育が必要という髙橋校長の思いがよく伝わってきた。

・大変ありがとうございました。感謝の気持ちで一杯です。

・素晴らしい。

・全国上映へ⁉

・手話を学んでいるところなので、とても参考になりました。

・手話の歴史を知ることができました。ありがとうございました。

・大正時代の映画ですから、古い建物、車など苦労されたと思いました。

◎「共に生きる会」への提案など

・高齢者と若い世代が共に取り組んでいる素敵な活動があれば是非。

・中高生の聾者と健聴者の関わる様子を見てみたい。

・世界の手話が見たい。

・歌舞伎

・明るく楽しくわかりやすい手話

・教育・読書


第二部アンケート

◎参加者の年代

20歳代1

301

40歳代6

50歳代13

60歳代21

70歳代13

◎参加者の居住地

京都市36

宇治市2

向日市1

京都府内3

大阪市3

寝屋川市1

大阪府内3

大和郡山市1

奈良県2

名古屋市2

未記入1

◎催しを知った方法

・チラシ4

・友人知人から37

・各種インターネット4

・民生児童委員会の研修会で10

・主人が出ていたので。

・妻からの誘い。

◎催しの評価

・大変良かった45名

・良かった9

・普通1

◎評価の理由

・上映時間が長すぎます。西河はま子氏のその後がどうなったのかが演じられなかったのが残念です。

・感動しました。涙が出ました。

・ずっと映画を続けてください。

・聾の歴史を知らなかったので、良い機会でした。

・全て聞けた音楽が最高でした。ありがとうございました。映画良かったです。今日来られなかった人もいます。いろいろな場所でやってください。

・今まで見た映画の中で一番感動しました。“美しい手の言葉”ご縁をありがとうございます。

・満席の為入れなかった仲間がいっぱいいます。もっと上映をする数を増やして欲しい。

・全ての人が簡単な手話、指文字ができる世界になることを祈ります。ぜひ、京都市や宇治市でもこの映画の上映会をして欲しい。今後もクラウドファンディングで募るのも良いのでは?

・上映をする数を増やして欲しい。

・手話の歴史に触れることができました。

・信念を貫くことの大切さと、一人一人に合った教育の素晴らしさ、手話を守り広めた髙橋先生に感動しました。映画の中の劇も良かったです。歌は大変良かったです。手話を習いたいと思いました。

・少し長かったけど、手話の必要性がとてもよく分かった。一人一人のための教育が必要というのはどの教育にも当てはまることだとお思いました。

・娘が障害児の教育をしていたため。

・出演者たち、聾者の強くアピールしていることも良かった。

・思いが伝わってくる。

・多くの人にもっと知って貰えれば良いのにと思いました。

・高橋先生が手話禁止の中、一人手話への必要性、大切さを訴えられたことに感銘を受けました。

・たくさんの場所で上映して下さい。

・手話サークルに入っており、歴史の勉強になった。とても引き込まれました。もっといろいろな場所で上映してほしいです。

・手話を少し覚えたいと思いました。

・今までの苦労を知れた気がします。

・もっとこの映画をたくさんの人に見て頂きたいです。

・手話の長い歴史が大変よくわかりました。知らないことばかりでした。ご苦労された校長先生、ご家族他の皆様のご苦労に胸を打たれました。

・最後の車座の劇も良かった。

・手話の歴史を知ることができて良かったです。

・心の教育、本当にその通りと感じたから。

・熱意が伝わり、手話が守られるところに感動した。

・昔の手話を取り入れる工夫は素晴らしかったです。昔の雰囲気が出てたというふうに見えました。

・手話の教育を貫いた髙橋校長と大阪の聾学校の先生方に感動しました。

・手話を身近に感じられる時間でした。今TVでも手話のドラマを見ております。こういう機会に皆に触れて貰うことは大切なことと思いました。若い方も関心を持ってもらえば良いと感じました。

・たくさんの人たちの手が加わって作られた映画でした。

・いっぱい泣いてしまいました。

・手話の場面が映るのが良い。生歌が良い。

◎「共に生きる会」への提案など

・活動を続けて欲しい

・精神障碍者の方の日常、どのように困った場面で対処しているのかなど。

・もっと協力していきたい。

・頑張ってください。何らかの形で支援できればと。

・障碍者を扱った活動をお願いします。

・『LOVE LIFE』の監督の話を聞きたい。

・本日はありがとうございました。本当に素晴らしかったです。

多くの方がアンケートにお答えくださったことも嬉しく思います。11月3日以降、『ヒゲの校長』は各地で上映活動をされています。今後の上映予定などはこちらをどうぞご覧ください。先ずは、無事に第3回共に生きる会の事業を盛会のうちに終えることが出来て安堵しております。ご協力いただいた皆様に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました‼







共に生きる会NISSHAA(最終)
いよいよ明日「共に生きる会」の第3回事業実施日です。聾宝手話映画の新作『ヒゲの校長』を第一部と第二部の2回にわたって上映します。その会場がNISSHA本館。国登録有形文化財です。貴重な建物をお貸しくださった一般財団法人NISSHA財団並びにNISSHA印刷歴史館様に心より御礼を申し上げます。

31日に会場を下見してきました。これまで映画の上映会として活用されたことがなかったので、11月3日に間に合わせるように、立派な遮光カーテンがレセプションルームに掛けられていました。ご親切に対応して下さったこと、とてもありがたく、感謝の気持ちで一杯です。

タイトルに「手話映画をNISSHA本館で観よう!」とうたっているのですが、どうも『ヒゲの校長』の方にばかり目が行くようで、間違えておもちゃ映画ミュージアムへ下見に来られる方が幾人かおられました。NISSHA本館は京都市中京区壬生花井町3に位置し、阪急大宮駅と西院駅の中間よりやや西院寄りに位置し、四条通に北面しています。大きな芝生が拡がり、本館だけでなく煉瓦造りの建築物の眺めも素敵です。残念ながら、当日は祝日でもあり、セキュリティの関係から構内を散策することはできませんが、関心ある方は事前予約されると見学できるようです。

NISSHA㈱本社がある場所は、平安時代都の真ん中に位置していて、宇多天皇や村上天皇などが退位後に上皇としてお住まいになった朱雀院の跡地です。四条通に面した敷地の西の端に石碑が建っています。そして、会場となるNISSHA本館は明治39(1906)年にこの地で操業していた京都綿ネルという会社が本社事務所として総煉瓦造りで建築したものです。歴史的建造物で100年前の出来事を描いた映画を観る特別な「文化の日」のイベントです。

10月5日から30日まで開催した映画『ヒゲの校長』資料展は、広範囲から多くの方に足を運んでいただくことができました。記憶に残る出会いが多くあり、いずれ紹介しようと思っていますが、今回は26日に初めてお会いした京都手話通訳問題研究会会長の持田隆彦さんについて書きます。

聾宝手話では、この映画制作で初めてクラウドファンディングに挑戦し、賛同された方のうち希望された方対象に先行上映会が10月22日に実施されました。その上映会に参加する方たが鑑賞前後に来館され、丁度いいとばかりに「アニメーション」の手話を実演していただき動画を撮影させていただきました。その動画を公開したところ、どうやら少し違っていたようです。実演に協力して下さった方たちとの温かい出会いと会話が強く印象に残っていることもあり、動画を削除するに忍びなく、文言で補いました。

その時から、来館いただく方に幾度も「アニメーション」の動画を公開したいからとモデルになって欲しいと依頼したのですが、不思議なことに「アニメーション」の手話に自信がない人が多く、さらに顔出しがNOの方もおられ、なかなかその願いを叶えられずに日にちを重ねました。そんな折、出会ったのが持田さんでした。異口同音に「持田さんなら確かだ」と京都市内の聾の方も、手話通訳をしている方も仰るので、30日ダメもとで、事情を説明したうえで「持田さんに手話の実演をしていただき、それを撮影した動画を公開したい」と申し出ました。

優しい持田さんは、その願いを聞いて下さり、31日夕方おもちゃ映画ミュージアムに来ていただきました。その成果を先ほどYouTubeで公開しましたので、是非ともご覧ください‼


1976年に京都手話通訳問題研究会が結成された当時から会長を務めておられますので、京都の手話通訳者にとっては神様のような存在。持田さんが手話に初めて接したのは島根県から集団就職で勤めた西陣の紋図業者でのことだったそうです。職場に聾唖者が入って来られ、持田さんはその指導係に。手話を覚えねばならなり、必要に迫られての手話学習スタートでした。日本で最も古い手話学習会「みみずく」に入って、仕事が終わった後、夜に学ばれました。それが今日の持田さんに繋がっているのです。

持田さんの言葉で印象に残ったのは「労働から手話が生まれた」ということ。例えば丁稚奉公している人が墨をする動作から、京都では「黒」の手話が生まれたそうです。でも他府県では黒は髪を右手で撫でるなど地域によって表現が異なります。方言と同じですね。もう一つ「手話は無形文化遺産でもある」という言葉。なるほどなぁと思います。

持田さんのお話がとても面白かったので、できる事ならこれからも出会いを重ねて、追々動画を増やしていけたら良いなぁと願っています。

今回の動画で手話をしていただいたのは、主に映画に関連した言葉で、①おもちゃ映画ミュージアム②映画とテレビ③漫画とアニメーション④DVDとブルーレイ⑤YouTube⑥スマホとタブレット⑦動画と配信⑧画像⑨カメラで写真を撮る⑩パソコン⑪zoom⑫アプリ⑬オンライン⑭テレワーク でした。

映画の表現について「キスシーンや抱擁の場面はゆっくり見たいから手をゆっくり回し、チャンバラの場面は早く回す」など面白いですね。手話は生きた表現そのものですね。皆さんも、持田さんの動画を見てぜひやってみて下さい。

明日の『ヒゲの校長』をご覧になった聾の人たちは、きっと、その感想をゆっくり手を動かして「感動したよ、良かったよ」と表現されることでしょう。さぁ、明日の準備を急がなきゃ。頑張ります‼


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