2020年5月に発足した「共に生きる会」は、仲間3人で始めたとても小さな団体です。でも志は高く、誰もが自分の人生を肯定し、前向きに生きていける世の中をつくるために、ほんの僅かでも貢献できたらと願ってスタートしました。
1年目は2020年11月21日に声優の真山亜子さんをお招きして「語りと映画で知る『ストーマ』のこと」をしました。オストメイト(人工肛門、人口膀胱を造設している方のこと)の方々の苦悩を知って頂き、理解を広めたいと思ったのです。内容については、振り返り記事を書いていますので、お時間があるときにお読みいただければ嬉しいです。
2年目は旧優生保護法(1948-96年)下で障がい者らに不妊手術が強いられた問題を取り上げて、2021年6月6日に「映画『ここにおるんじゃけぇ』から強制不妊問題を考える」をしました。この問題については、このブログで関連記事を掲載するなど、強い関心を持ち続けています。
そして3年目の今年は、副代表を引き受けてくださっている谷進一監督の最新手話映画『ヒゲの校長』を、素敵なNISSHA本館レセプションルームでご覧いただく特別の取り組みです。チラシにも載せましたが、同本館は1906(明治39)年に建てられた116年の歴史を誇る国・登録有形文化財です。
100年前、アメリカで始まった口話教育を日本でも普及させようと国は手話を否定して、口話法を押し進めます。「ヒゲの校長」とは、実在した大阪市立聾唖学校長高橋潔(1890-1958年)のことを指します。高橋校長は手話を全否定するのではなく、手話を用いながら、口話法や指文字も用いる柔軟な姿勢で聾の子どもたち一人ひとりに合った教育をしようと奔走します。この映画は“手話の父”とも呼ばれる高橋潔とその仲間たちのお話で、全編字幕付きで上映します。
コロナ禍の煽りを受けて、撮影が予定通りに運ばず難航していましたが、どうにか間に合うようでホッとしています。この作品は制作資金獲得のためにクラウドファンディングに初挑戦し、賛同いただいた方を対象に10月22日に京都市内で先行上映されますが、「共に生きる会」では、それに引き続いての一般公開となります。
Coda(聾者の両親を持つ子ども)の尾中友哉さんが高橋校長先生役で映画初出演されるほか、主な出演者の4割が聾者や難聴者の方です。
こういった事情も含めて、8月28日付け読売新聞三社面で映画の紹介記事が掲載されました。なお、先駆けて8月23日付け東京本社発行夕刊でも同じ内容で掲載されています(写真の上でクリックすると、拡大して読むことができます)。
もっと早い4月23日付け毎日新聞京都版でも掲載されました。
下掲は4月1日付け朝日新聞夕刊社会面から。記事の最後に載っている前田浩さん(谷監督と共同脚本)のコメントが良いです。「世界中が戦争にあけくれた時代に、聞こえない人の人権を守る教師たちがいて、今日の多様性に通じる視点を主張していた事実を伝えることに、映画の意義がある」。
さらに遡って、京都民報1月9日付けでも掲載して頂きました。
11月3日の事業は、一生懸命申請書作成に挑戦した結果、京都府地域交響プロジェクト交付金と京都市人権啓発活動補助金を受けることができました。もう一団体の公益財団法人京遊連社会福祉基金助成金は申請中です。
それらの申請書にも書いたことですが、かつて西陣織の企業に手先が器用な聾者が多く働いておられ、織機の大きな音がする中で意思疎通を図ろうとして手話が誕生したと伝え聞いています。「へぇ~、京都は手話発祥の地だったのか!」と思っていましたら、鳥取県も手話発祥の地を名乗っておられるそうで、全国手話パフォーマンス甲子園が毎年開催され、知事ご自身も手話がお出来になるとのこと。京都か、鳥取か、あるいは別のところか、昔のことなので、どこが発祥の地なのかはわかりませんが、それはともかく、誰もが手話を使える“普通のもの”になっていけば良いなぁと願います。
協力団体、後援団体も7団体に。どの団体さんも「関連団体に広報してあげる」と仰ってくださって胸を熱くしています。嬉しいです💗
今回の催しを国・登録有形文化財の本館をお借りして実施できることに関しては、一般財団法人NISSHSA財団専務理事/NISSHA印刷歴史館館長の小西均様のお力添えによります。たまたま骨董市で“満洲”移民を促進する目的で作られたと思われる16㎜フィルムを見つけたことから、2020年8月に私が普段活動している「おもちゃ映画ミュージアム」で「『満洲国』って、知っていますか?」展をしました。小西様がその展覧会を見に来てくださった折にいろんな話をさせて頂き、流れで、私が近代建築物が好きなこともあり、いつも四条通りからNISSHAさんを見ながら、撮影などできたら良いなぁと憧れのまなざしで見ていることを伝えました。
その思いに応えてくださって見学の機会を設けて下さり、その時今回の会場となる「レセプションルームで上映会ができたら良いなぁ」という夢を膨らませました。今年再度見学させていただき、実現へ向かって進みました。本館建設当時は上映会をもちろん想定していなかったので、遮光の工夫が必要でしたが、無理な願いながら、暗幕の設置にも応えてくださいました。11月3日の上映会は一般財団法人NISSHA財団様のご協力なしでは設計図を描くことができませんでした。このことに関して心より御礼を申し上げます。
さらに、当日は本館1階の印刷歴史館も見学させていただけることになりました。グーテンベルク印刷機(複製)、ゼネフェルダー石版印刷機(実機)、ハイデルベルグ活版印刷機(実機)等々貴重な資料を間近でご覧いただけるチャンスです。第1部終了後、あるいは第2部開始前にぜひどうぞ‼
というわけで、晴れの特異日を期待して選んだ11月3日(木/祝)は、歴史的建造物と印刷の歴史、そして手話の歴史の3つを学べる「文化の日」にふさわしい一日となります。どうぞ、お誘いあわせてご参加下さいませ。
上映後には、エンディング曲を歌っている「中川由奈feat一文字鷹」による「光の音色₋手話が拡がる明日を信じて-」歌と手話表現歌のライブ、最初の年に作った八つ折りリーフレット「日常で使う手話イラスト50 やってみよう手話」をお配りして、実際に手話の体験もしてもらいます。
充実内容でお送りする催しは、14時開始(13時半開場)の第一部と17時開始(16時半開場)の第二部の構成です。会場は広いのですが、コロナ感染拡大防止のため定員をキャパの半分に設定しています。参加費は一律1500円です(当日現金でお支払いください)。お申し込みは電子メール:fumiyo@toyfilm-museum.jpまたは電話075₋803₋0033、あるいはfax075₋803₋0034でお願いいたします。駐輪場もありますので、自転車での来場も可です。
なお、10月5日(水)~30日(日)関連企画として、おもちゃ映画ミュージアムで『ヒゲの校長』の資料を展示します。月・火曜以外の10時半~17時です。入館料は高校生以上大人500円、中学生300円、小学生以下無料、障害者手帳持参者は50円引きです。詳細をチラシに盛り込めなかったこと申し訳けございませんが、この資料展も併せてご覧いただければ幸いです。