今日から、ブログのトップページイラストが新しくなりました。
描いてくださったのは、京都芸術デザイン専門学校2年生前川夏初さん。昨年2月におもちゃ映画ミュージアムにインターンシップ生として2週間来て下さって、ステキなミュージアムのチラシをデザインして下さいました。そのことがずっと忘れられず、このブログを飾るイラストを描いて欲しいと依頼しました。そして、昨日届いたのが、トップページに載っている虹がないバージョン。虹と空を青くグラデーションに描いたのは当方ですが、原画を一目見て「可愛らしい‼」と気に入りました。よく見たら、左の車椅子の女の子は「共に」の手話をしていて、その隣の小さな女の子は「会」の手話、その隣のセーラー服姿の女の子は「生きる」の手話をしています。3つの手話で「共に生きる会」に。勝手な願いをみ~んな叶えて下さって、前川さんに感謝の気持ちでいっぱいです!!!!!
さて、今日14時から「中京区民まちづくり支援事業」報告会がzoomで開催されました。採択された8団体と審査委員、その他まちづくりに関心がある人が集まりました。今では一般的になっているzoomですが、恥ずかしながらその使い方がよく分かっていないので、不安を察知した同じく採択団体の「GG's者語(じーじーずものがたり)代表者さんがご親切に基本から教えて下さって臨むことが出来ました。
zoomの「ブレイクアウトルーム」を使って4つに別れての事業報告でしたから、8団体全ての報告を全員が聞けたわけではなかったです。私が報告を聞いたのはNPO法人劇研さんだけで、次の「ブレイクアウトルーム」では私が発表することに。心臓がパクパクしましたが、用意しておいた13枚のパワーポイントを示しながら、原稿を読ませていただきました。
お聞き下さった佐々木副委員長さんが「とても感動しながら発表を聞きました。コロナ禍で集客の苦労もあり運営は大変だったでしょう」と仰ってくださいました。「実際のところ自己負担金が結構ありましたが、『ストーマのこと、オストメイトさんのことを広く知ってもらいたい』という強い思いで取り組みましたので、『とても勉強になった』『自分も広める手伝いをする』と仰って下さった方が幾人もおられたことで、やって良かったと思います」と答えました。「一般の人々の間で理解が進み、ストーマがあるのも一つの個性と思ってもらえる世の中になれば、当事者の苦悩も少しは減ると思います」とも話しました。
お父様がオストメイトだったという男性は、「ストーマになることを、ストーマになったことを受け入れられず自殺する人もおられ、特に男性に多い」と紹介したことに対し、「父親も悩んでいたのかなと話を聞きながら思いました。もっと話を聞いてあげれば良かった。これからも頑張って活動を続けて下さい」と激励してくださいました。
そして、全体が集まっての報告会終わりに、「京まちなか映画祭実行委員会」と私の発表をお聞きになった佐々木副委員長さんが「1年間どんな思いを抱えてやってこられたのかと、熱い発表を聞いて感動しました。この発表を全員に聞いて貰えなかったのが惜しい」と仰って下さり、感無量でした。
その言葉を伺ったこともあるので、10分という制約に基づき用意した事業報告文を次に書き出します。
パワーポイント1から
昨年5月に発足した「共に生きる会」の太田です。よろしくお願いいたします。
第1回事業として、昨年11月21日に実施した「語りと映画で知る『ストーマ』のこと」の報告をさせていただきます。
皆さん、「ストーマ」をご存じでしょうか?
ストーマは、病気や事故などで腸や尿管が損なわれた人が、腹部に排泄のために造設する人工肛門や人工膀胱のことを指し、それを造設した人をオストメイトと呼びます。がんや消化器系、泌尿器系、婦人科系、あるいは先天性の病気のために生後すぐに手術を受ける方もおられます。国内には約21万人もおられます。
表紙に写っているのは、昨年10月6日から交流が始まったエマ・大辻・ピックルスさんです。2019年に病気のためにストーマを造設して、昨年夏から日本で最初のオストメイトモデルとして活動を始められたお医者様です。
エマさんのお腹についているのが排泄物を受け止める袋、パウチです。オストメイトの人はこのパウチを四六時中つけていなければなりません。今、エマさんがつけている海外製パウチは中が見えませんが、日本は自治体からの補助金が少ないので低価格の中が丸見えのものが主流です。そのこともあって、偏見や無理解を恐れ、人目を避けて銭湯や温泉、プールやジムなどの使用を諦め、外出を控える人が少なくありません。エマさんは「丸見えだと紙ヤスリで自尊心が削られていく感覚がある」表現されています。
今回講師を務めて下さった声優の真山亜子さんとは、2018年おもちゃ映画ミュージアムに来館いただいた折り、名刺代わりにこの若い女性オストメイトの会「ブーケ」のリーフレットを貰ったことから始まります。その翌年新聞で、真山さんが大きく取り上げられているのを読んで、漸く難病を患った挙げ句に大腸と小腸のWストーマを造設されたのだと知りました。その経験を2004年から2015年までオストメイトの方を対象にした講演会で、10回ほど話す活動をされてきました。多くの人が知られたくないと隠して生きておられる中で、経験者が人前で話す勇気ある行動はオストメイトにとって大きな励みになったことでしょう。
医師から「最悪の場合、ストーマになります」と告げられ、悲観して手術を拒否し、自殺する人もおられるそうです。特に男性に。マイナスな思いでいる人たちに、ストーマになっても生きる希望を伝えることは大切です。一般の方も、ストーマが何かを知り、オストメイトの方の生き辛さを知れば、街ですれ違う人の中に、そうした内部障碍を抱えている人がおられるかも知れないと想像力を働かせることもできましょう。そうすれば行動も自ずと異なってきて、一般の人も障碍を抱えている人も共に生きやすい世の中になると考えて、オストメイトだけでなく、広く一般の方にもストーマを知ってもらいたいと企画しました。この視点はエマさんとも共通します。
最初にオストメイトが登場する映画『あんたの家』と『Home Nurse~訪問看護の時代~』を上映しました。前者は貧困、老い、ストーマが重なる厳しさを、後者は4つの事例を通して訪問看護の様子を分かりやすく描きました。監督は訪問看護師で私どもの副代表の谷進一さんです。
この『Home Nurse』には聾者も登場しますので、手話にも興味を持ってもらえたらと思い、リーフレット「日常で使う手話イラスト50~やってみよう手話」を作って配布しました。イラストは聾者の小川和久さんに依頼しました。当日は小川さんと手話通訳をしてくださった谷さんをお手本に、皆さんで手話の体験をしました。
講師の真山さんも即興で習った手話で皆さんに自己紹介。『ちびまる子ちゃん』の杉山君、『忍たま乱太郎』の母ちゃん、二代目『E.T.』の声などを披露して参加者の心を惹き付けてから、紙芝居風の『泣き笑いストーマ物語 真山亜子の場合』をスクリーンに映し出しながら、ご自身の体験をお話下さいました。10代の頃から様々な病気にかかり、「今も病気のデパート」と話す真山さんですが、とても明るくて前向きに過しておられます。「こうして皆さんとお会いできてお話ができること、表現する場があることが幸せ」と仰っていました。
プロの語りで聞いた『てんとうむしのかなしみ』は、真山さんの大変な経験を聞いた後ということもあり、居合わせた人々の胸に響きました。自分だけじゃない、誰でもみんな悲しみを背負っていると気付いたテントウ虫は自分の悲しみをこらえていきていかねばならないと悟り、嘆くのをやめるというお話です。できることなら、そっと寄り添いながら、少しでもその悲しみを減らしていける世の中にしたいと思いました。
13時と17時の2回に分け、招待者も含め延べ46名の方に参加頂きました。参加者にはオストメイトの方、お身内にオストメイトがおられる(た)方、装具メーカーの方、元看護師だった方、車椅子や聾者の方もおられました。一般の方の中に朱一学区民生児童委員協議会の方が研修の位置付けで参加して下さり、「とても勉強になった」と仰って下さいました。遠方からお越しの女性は、まだ小さいお孫さんが生まれて2日目にオストメイトとなり、「どこにも相談する場がなかった」とお話下さいました。一般の方にもっと知ってもらいたいという希望で実行できて、本当に良かったと思います。
実施したアンケートでは、良かった、大変良かったという感想ばかり。真山さんの生き方に感動を覚え、配布したストーマに関する資料や手話の資料を活用して、理解を広げる手伝いをすると書いてくださった人が幾人もおられたことが嬉しかったです。実施に際し、いくつもの団体・個人から協力を頂きました。深く感謝しています。
エマさんの「オストメイトのことをもっと知ってもらいたい、置かれている立場を変えたい」と思って取り組まれている活動が、昨年10月2日NHK「ニュースシブ5時」で紹介されたところ、大きな反響があり、11月16日同「ストーリーズ」、2月13日同「ザ・ヒューマン」、21日NHKFMラジオ、23日TBSラジオで特集が組まれ、雑誌『通販生活』春号で落合恵子さんと対談、先ほどの『Co-Co Life女子部』にも掲載され、今注目されています。3月17日朝9時からNHKBS1で「ザ・ヒューマン」が再放送されますので、ぜひご覧下さい‼
彼女の「ストーマを恥ずかしいものではなく、病気に打ち勝ってきた勲章に」という考え方にとても共感を覚えます。イベント当日もエマさんの考え方を紹介しました。エマさん効果で、昨年9月に開設したブログ「共に生きる会」をご覧になる方が増えて、キーワード「共に生きる会」でネット検索すると約5千万件の中から、今日は4番目に載っていました。多くの方が彼女の生き方、オストメイトに関心を寄せて下さっている証で、そのことをとても嬉しく思いますし、今後も関連情報を発信していきます。
事業を通して新たな繋がりがたくさんできました。その一つ、京都市中京区社会福祉協議会さんとの出会いから、今年5月8日に第2回事業「映画『ここにおるんじゃけぇ』から強制不妊問題を考える」でもお力添えを賜ることになりました。これからも、障碍のあるなしに関わらず、その人らしく生きていける世の中になるよう微力ですがお役に立てるよう活動を続けていこうと思っています。これで報告とさせて頂きます。 以上です