2021年02月

ブーケVol.65
昨日届いた若い女性オストメイトの会「ブーケ」の会報誌Vol.65。1月20日現在の会員数は489名だそうです。事務局の草田さんから送っていただきました。前号には、貴重な紙面3頁にわたって、11月21日に開催した第1回事業「語りと映画で知る『ストーマ』のこと」のお知らせを掲載していただきました‼さらに当日参加して下さった方に配布する「オストメイトってなに?」のリーフレットと冊子もご提供いただきまして、温かい応援に心から御礼を申し上げます。

当日体験談をお聞かせ下さった声優で「ブーケ」のサブスタッフとしてもご活躍の真山亜子さんのご尽力によるものですが、今号には、その真山さんの報告が詳細に3頁にわたって載っています。
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ぜひ読みたいと希望して、早速草田さんが送ってくださったのです。その冊子には、今回も美しい文字で綴られたお便りが添えてありました。草田さんは学生時代から手話を学んでおられるのだそうです。真山さんの文章に当日の手話に関する報告も載っていたことから、ますます訪れてみたいと思ってくださったようで、そのお気持ちがとても嬉しいです💝。今年秋には第3回目の事業として手話をテーマにしようと思っていますので、その時にお会いできれば良いなぁと思います。そのためにもコロナの鎮まりをひたすら願っています。

真山さんは、後述の2月23日TBSラジオ「アシタノカレッジ」に生出演されたエマ・大辻・ピックルスさんのお話を聞かれて、「改めて気付かされたことがたくさんあり、そして私もやらなきゃならないことがある。私にしか出来ないことなどインスピレーションをもらいました」とメールを下さいました。会報誌報告文の末尾は「これからも『ストーマ』のこと、ストーマと共に生きていくこと、ブーケのみんなが思うこと、自分の経験など伝えていけたら良いなと思います」と書いておられます。健康に留意されつつ、真山さんらしく、真山さんじゃないとできないことをこれからも発信されることを期待しています‼

丁寧に編まれた「ブーケ」会報誌には、いろんな意見や情報が満載で、会員の方にとっては心強い冊子なのだと思います。その中で特に印象に残った方のご意見から。昨年3月に緊急入院手術を受け、ICUから戻った時にストーマが付いていたそうです。一旦は状況が受け入れられず放心状態だったそうですが、傷が治るにつれて、あれもこれもしたいと前向きに。癌もあり、何が起こるか分からないからやりたいことはやっておこう!と、落ち着いてきた10月からバレエのレッスンを再開されました。「やりたいという気持ちがあれば、何とかして出来る方向で考えるので、何でもできるような気がします。なので、次はサーフィンもやってみようと思います」とアッパレ!なご意見。気持ちを前に‼ 読みながら私も励まされました。

これからも継続して、ストーマのことを発信していけたらと思い、会報誌を毎号お送りして頂くことにしました。普段活動しているおもちゃ映画ミュージアムに配架していますので、情報源の一つとして自由にお手にとってお読みいただき、お役立て下されば何よりです。

さて、先ほど書いたエマ・大辻・ピックルスさんですが、昨年10月2日NHK「ニュースシブ5時」で紹介されて以来、めざましい活躍が続いています。これまでもこのブログで特集番組や雑誌で報じられるエマさんの考え方を紹介してきました。番組で報道される度に、このブログにアクセスして下さる方が増えて、エマさんへの関心の高さがうかがえます。

ということもあり、エマさん登場番組紹介続編として、先ずは2月21日23:30からNHKFMラジオ「眠れない貴女へ」で放送された時のメモ書きから。パーソナリティーの作家村山由佳さんがTwitterで「生き方の美しい人は、声も話し方も美しいのだな」と書いておられましたが、村山さんも同様で、お二人の声も話し方も美しいと思いながら耳を傾けました。聞き逃しサービスは3月1日午前1時まで配信されています。最初にエマさんの歌「アンダー・マイ・ドレス」から始まって驚きました。男の子の母親で医師でもあるエマさんは、日本で最初のオストメイトモデルとしてだけでなく、歌もうたっておられたのですね‼ あるアーティストさんが、SNSでエマさんのことを知って、励ましてあげようと作られた曲なのだそうです。38歳からボイストレーニングを始め、41歳で吹き込んだそうです。先ほどの女性と共通する考え方ですね。やろうと思えば何だってできる‼

「16歳で体調が悪くなり、38歳で診断が付くまで原因が分からず、心が弱いと判断されたことが闘病生活でいちばん苦しかった。医学部4年で発症し、体力がキツいことをサボっているととられたことが残念だった。国家試験で落ちたことが初めての挫折だったけど、そのおかげで付いていた先生から『医療は希望なんだよ。医師は患者さんに希望を与えなければならない』という言葉が聞けた。一昨年41歳でストーマを造設し、なかなかオストメイトが社会から理解されていない、オストメイトの置かれている環境を変えたいとの思いから、人工肛門を隠すことなく、オストメイトモデルとして活動している。ストーマになってもハッピーに生きていくロールモデルになれたら」とエマさん。

これからやっていきたいこととして、①「オストメイト」という言葉を広めたい。「人工肛門」という言葉は口にしにくい。②ストーマ袋「パウチ」は、基本的には中から漏れることはないのに、オストメイトの人々は誤解されるのではないかと恐怖心を抱いていて、温泉に行くことを諦めている。行ったとしても人がいない時間に利用している。海外では堂々とプールで泳いでいるし、ジムにも行っているのに。正しい知識が一般に広まって、オストメイトが恐怖心を抱かずにストーマを造る前と同じようにハッピーに生活出来るように働きかけたい。

更に、日本で認知が広まらない背景にあるのは、独特の文化にあるのでは?とエマさん。日本は隠す文化があり、恥ずかしいものという意識が凄く高い。海外の人はエチケットに対して過敏に反応しない。おなら、おしっこ、ゲップなどは生理現象なので、人前で出たとしても「Excuse me」で済みますが、日本ではからかいの対象に。トイレの「音姫」があるのは、日本だけと聞きます。

日本ではパウチに対する補助金が市区町村毎に異なり、平均して月8千円ぐらいなのだそうです。海外では無制限に使える国もあって、だから堂々とオープンにしておられます。エマさんのように中が透けて見えない海外製パウチ(1枚600~900円)はNHKの番組で4歳の女の子が「見えないから良いなぁ」と言っていたように好ましいのですが、毎月の補助金では不透明なパウチは買えず、だから人目を気にしてしまう悪循環。国産の会社にぜひ頑張って不透明で安く、使い勝手が良い製品開発をして欲しいですし、行政も何かと財政的に大変な時代とは思いますが、利用者さんへの支援をもう少し配慮してくださったら良いのにと、聞きながら思いました。

「多民族社会では、人と違うことが一つの個性だと思っていて、子ども達もオストメイトの子がいても知っている。開示する、社会がそれを知っている。だから隠す必要がない。根本的にシステムが異なっているので、今ある文化を全て変えることは出来ないけれど、未来は変えることができるし、若い人たちは変わっていくことが出来る。これから先に希望を持ちたいです」とエマさん。エマさんが子ども達にストーマを見せて話をしたいとおっしゃっていた背景がわかりました。

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続いて2月23日MBSラジオ「アシタノカレッジ」の「アシタノカラダ学部~知ろうオストメイトのこと~」にゲスト出演されたエマさんの話からいくつか。パーソナリティはキ二マンス塚本ニキさん。YouTubeで同時配信されていたのを見ました。パウチについて、6社のメーカーそれぞれが300種類の装具を製造しているので1800種類もあって、その中から自分に合うものを見つけるのは大変。隙間からヌルッという感じで漏れてしまったりするので、ひとつひとつ試していくのだそうです。

パウチは正式には「糞便袋」で1970年代から変わらず、この呼び方が羞恥心に繋がっています。製品は年々良くなっていますが、コンセプトが変わっていない。装具メーカーのコロプラスト社(コロは袋、プラストプラスチックの意味だそうです)はデンマークに本社があり、オストメイトの認知度は日本より高く、福利厚生が整っていて、一日に何度もパウチを替えられるのだそうです。エマさんはこの会社の不透明パウチ(1枚600~900円)を使い始めて、「人生が変わった。体の一部として受け入れられる」と話しておられました。繰り返しになりますが、市区町村からの補助金をもう少し上げてくだされば、オストメイトの方たちの生き方・考え方もプラスに働いて、好循環な社会に繋がると思います。

番組中にエマさんのお腹からブーブーという小さな音が聞こえました。これがおならでした。ストーマには筋肉がないので、排尿、排便、おならをコントロールできないのです。この音が怖くて、みんなと一緒に弁当を食べられないという人もおられるそうですが、これが生きているということ。生理現象を日本人は気にしすぎる根強い恥の文化の話に戻りますが、これを
Excuse me」で済ませられる世の中に変わったら、からかいも減って、生きやすく感じる人も多くなるでしょう。

番組で最も驚いたのは、多機能トイレの価格。500㎡以上の施設には設置が義務づけられていて、1箇所つくるのに1億円かかるのだそうです。それは事業者負担。真山さん、エマさんと知り合って以来、街の多機能トイレのピクトグラムに直ぐ目がいくようになりましたが、そんなにも費用がかかるとは知りませんでした。「もっと増えたら良いのに」なんて勝手に思っていましたが、「造設してくださってありがとうございます」と思うようになりました。

ともあれ、「ストーマになってもハッピーに生きていけるよ」と発信してくださる真山さんやエマさんの活躍に拍手を送りつつ、内部障碍を抱えている人たちへの理解が広まっていくことを心から願っています‼

Twitterで今知ったばかりなのですが、2月23日(火)22:00~、TBSラジオ「アシタノカレッジ」に、エマ・大辻・ピックルス医師が生出演され、アシタノからだ学部で、オストメイトについてたっぷり話をされるそうです。YouTubeでライブ配信もあるそうなので、忘れないようリマインダーをオンにしました。https://www.youtube.com/channel/UCtK2jtkcUh59o3RdfinlZ4Q

二日前のNHKFMラジオ「眠れない貴女へ」を聞き逃しサービスhttps://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=2401_01 でまた聴こうと思っていた矢先に、TBSの放送と続き、メディアの注目具合が凄いですね‼ 夕べは3月15日に事業報告する「語りと映画で知る『ストーマ』のこと」(2020年11月21日実施)のパワーポイントを作成していました。その中で、エマさんの活動にも触れて紹介しようと思っています。

このブログで、エマさんのことを書いたことから、アクセスしてお読み頂く人が増えました。番組を見ながら、書き出したエマさんの考え方、エマさんが知り合った海外のオストメイトの方の考え方に、とても惹かれています。特に「ストーマは人生の可能性を奪うものではなくて、与えてくれるものです」と話されたイギリスのニコラ・デイムズさんの言葉に感動しました。

エマさんを通じて、前向きな考えを広くお伝え頂けたら、内向きに引きこもっていた人の中から「また、頑張ろう」と前に踏み出す人も出てこられると思うのです。オストメイトか否かではなくて、こうした考え方は、他のどのような場合にも応用できると思います。

過日Facebookで友達リクエストを下さった男性は、エマさんの活動を知って刺激を受けられたらしく、オストメイトについて発信を続けておられます。頂いたメールに、「21万人おられる会員のうち、オストメイトの会の会員は1万人程度で、オストメイトの孤立化は大問題です。何か考えていかなければ」とあって、そんなに会員になっておられる人が少ないのかと驚きました。

11月21日にWストーマの体験をお話しして下さった真山亜子さんにお尋ねすると「若い人たちが入りたがらないのは事実。若い人たちが、そうした会の存在をご存じではないのかもしれない」とご自身の体験から仰いました。真山さんがオストメイトになられて19年だそうですから、今の状況がどうだかわかりませんが、当時「病院では会のことを教えてくれなかった。装具の会社からイベントのご案内を頂いて、出かけていって、初めてオストメイトの会やブーケの会のことを知った。病院からいただく手引きに、オストメイトの団体も載せて欲しいと思った」そうです。

件の男性がシェアされたフェイスブックの記事から、オストメイト向けアプリとYouTubeチャンネル「オスとぴ」が開設されたことを知りました。借用してリンク先を貼ります。

若い人たちは、こうした今時の媒体で、会に所属しなくても情報を得ておられるのでしょう。エマさんもSNSで発信しておられるので、そこから得られる情報が多くのオストメイトの方たちの支えになっている面もあると思います。とにかく、今は、エマさんの活動が素晴らしくて、目が離せません‼

この半年間に、一般女性が4度もNHKで取り上げられることって、他にもあったのかしら?それほど10月2日NHK総合テレビで夕方放送された「ニュースシブ5時」の反響が大きかったのでしょう。

その女性、日本で最初のオストメイトモデルとして活躍を始められたエマ・大辻・ピックルス医師が、2月21日23時半からNHKFMラジオ番組「眠れない貴女へ」にゲスト出演されます‼ 番組のパーソナリティは村山由佳さん。見逃し放送もあって1週間聴けるそうですので、ご都合良ければ、ぜひお聴き下さい。私も拝聴するのを楽しみにしています💖
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今日のTwitterで、エマ・大辻・ピックルスさんが情報発信されていました。私は仕事をしていて、その時間に見ることが叶いませんので、留守録設定します。皆様も可能でしたら、ぜひご覧下さい‼

NHK BS1 2月13日(土) 22:00~ (50分)放送です 「オストメイトモデル 私が“モデル”になった理由」 NHK ザ・ヒューマン

【2月14日 続き】
驚きました、夕べのエマ・大辻・ピックルスさんを紹介した番組の影響でしょうか、このブログにアクセスして下さった方が昨日一日で697人もおられました‼ 私の名前で書いているFacebookにも70歳の方から友達リクエストが来て、「エマさんと繋がりたい」という橋渡しの希望が書いてありました。この方、昨年8月にオストメイトになられたそう。「こんな体で静かに過そうと決めていましたが、エマさんが立ち上がったので本当に勇気もらいました」と書いてくださいました。「こんな体」というのが気になりますが、それは、今朝留守録しておいた番組を見た所為かもしれません。


「ザ・ヒューマン」で紹介されていた内容の多くは、昨年10月2日「ニュースシブ5時」と11月16日「ストーリーズ」と重なる内容でした。初めてエマ先生の活動について知ることになる人たちに向けての親切な番組設計となっていました。その重なっている内容については、これまでのブログで書いていますので省かせていただきますが、前2回放送以降、エマさんがオストメイトモデルとして、新たな活動を始められた様子部分について書いてみます。

「外からは分からないため、理解が進んでいない。理解が進んでいないから、知られたくない」、これが日本に於ける約21万人もおられるオストメイトが直面する厳しい現実です。日本オストミー協会が2019年に調査した結果では、オストメイトの約4割が「温泉や銭湯を利用しない」と回答しているそうで、人目を気にして、生き辛さを抱えている人が少なくないことが分かります。

エマさんも「パウチ(排泄物を受け止める袋)の扱いに慣れるまで、便が漏れることは日常茶飯事で、街で下水の臭いがすると、自分から臭っているのではないかと不安になった」と言います。「排泄物とお付き合いしていくってことに対して、自分が生きていくために必須なんだけれども、こんなに心がえぐれる思いもしていかなきゃいけないんだ。こんなうんちパックをぶら下げている自分なんて、愛してもらえないとか、もう前の自分と同じ肉体的な価値はないんじゃないかという、諦めなきゃいけないものがあるとは知らなかった」と語ります。

この思いが、先の男性の「こんな体」という言葉に表れていると思いました。でも、エマさんの視線は過去ではなく、未来に向けて注がれています。その柔軟で強いまなざしに惹かれます。エマさんが前向きに考えるようになったきっかけの一つが、番組では語られなかったウインドケアナースの助言だったようです。『通販生活』
2021春号に落合恵子さんとエマさんの対談が載っています。その対談の中で「ウインドケアナース」さんから教わったことが書いてあります。馴染みのない言葉ですが「ウインドケアナース」は、ストーマをつくった後のフォローをしてくれる看護師さんのこと。彼女たちから「パウチは日本では透明のものしかないけれど海外では違う。海外にはオストメイトモデルがいる」などということを教わったのだそうです。きっとエマさんの考えに心打たれて、ウインドケアナースさんたちが、一生懸命海外の情報を集めて下さったのはないかと勝手に想像しています。

ウインドケアナースさんたちから教わった一人にイギリスのオストメイトモデルのアンバーさんがいました。アパレルメーカーのモデルとして契約し、商品のPRをしたり、当事者のニーズを届けることで、次々と新しい商品が生まれています。アンバーさんが透明じゃないパウチを付けて、プールで堂々とエンジョイしているオフショットを見て、エマさんは強く惹かれます。そして、「オストメイトになってもハッピーな人生が待っているんだよっていうことを伝えているんだな」と思ったそうです。

オストメイトのことをもっと知ってもらいたい、オストメイトがおかれている状況を変えたい、そう思ったエマさんは昨年夏から日本で最初のオストメイトモデルとして活動をスタート。自費で水着姿の写真を撮りSNSで公開、装具メーカーに不透明なパウチを作ってほしいと交渉、企業とモデル契約の交渉をしたりと行動しておられます。

その熱心さ、ひたむきさが届いたのか、NHKの担当者がエマさんの後輩だった幸運もあり、半年間に3回も特集が組まれて放送されました。最初の夕方の番組「ニュースシブ5時」の反響が大きく、その続編、さらに続編という形で、エマさんの動きや考えが広く紹介されました。凄いことだと思います。

昨日の番組では、デンマークに本社があるパウチメーカー「コロプラスト社」とキャンペーンモデルの契約を交わし、宣伝用の写真を撮影する場面が写っていました。スレンダーなエマさんが黒いスーツを着こなし、白いパウチを付けてカメラの前に。「究極の格好悪いものとされているものを、究極の格好良くスタイリッシュなものにする。そうすれば、マイナスのイメージが払拭されるんじゃないか」とエマさん。

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昨年11月21日の催しのためにコロブラスト社、ホリスター社からも冊子を送ってもらい、展示と配布をしました。上掲はコロブラスト社の冊子で、「色や形はさまざまで、用途に応じて選ぶことができます」と書かれ、「不透明」と書かれたパウチも載っています。
コロプラスト社は139ヵ国に販売し、年商3千億円以上でグローバルシェア1位を誇る企業だそうです。

その日本の社長ステファン・リンデ・ヤコブさんのお父さんもオストメイトなのだそうです。「他の国ではストーマを隠すための不透明な製品がスタンダードだが、透明なパウチのニーズが高い日本では余り知られていないので、海外のように売れていない」とか。4歳のオストメイトの女児も「見えるのが恥ずかしい」と言っていたのに、手術直後は致し方ないとはいえ、どうして日本はその後も排泄物が見えるパウチのニーズが高いのでしょう?

さて、もうひとつエマさんが始めようとしておられるのが、イギリスのニコラ・デイムズさんの仕事の手伝い。ニコラさん自身29歳の時にオストメイトになったことで、自分が欲しい下着のデザインを始めたそうです。今では世界20ヵ国以上に彼女の会社が作った水着や肌着など150以上のアイテムが販売。ニコラさんが目指したのが「オストメイトになっても、生活の質を落とさないこと。病気があっても絶対に人生の邪魔をさせない。ストーマは人生の可能性を奪うものではなくて、与えてくれるものです。人工肛門と生きる私たち自身が、人工肛門と進化していく必要があります」は、なんて素晴らしい考え方でしょう。この言葉が自殺や欝に心が向かう歯止めになれば良いです。

エマさんは言います「多様性を認める文化の違いもあるけれど、社会全体にそういうことに対するサポートがあるんですよね、きっと。日本では諦めなくちゃいけないことが、もしかしたら少ないのかもしれない。大きな進化の先を見た感じがした」と。折しも、森さんの女性蔑視発言が問題になっていますが、日本に根強く残っている考え方が、ちょいと顔を覗かせただけで、いろんな面で日本は遅れているなぁと思いました。

エマさんの活動が新しい風を呼び、障碍のあるなしに関わらず、堂々とその人らしく生きていける世の中への一歩になれば良いなぁと心から願います。

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