質疑応答
◎60年前に看護師の資格を取った84歳の女性から
ずっと昔、私が結婚するときに38歳で仲人をしてくださった人が大腸の病気になり、ストーマになられた。その頃、こんな立派なストーマはなかった。その方がもの凄く苦労しておられたのを知っているので、こんな良いものができて、皆さんそんなもんやないと言われるかもしれませんが、随分助けられているんじゃないかと思いました。大変ですけど、頑張ってください。
(真山さん)昔の方の話を聞くと大変で。今も海外の経済的に貧しい所では、洗って使い回すなど本当に大変で、今の時代で良かったと思います。装具の会社の方にも助けられていますし、お洒落で、どんどん良いものを開発していただきたいです。ストーマになったからって出来ないことはなくて、山登りしている人もいれば、スイマーの人もいます。何でもできます。悲観的に考えないで大丈夫な時代になりました。
◎ストーマを付ける位置はどう決める?
(真山さん)最初に設計図というか、医師から説明があって、何処に付けるか話はできるみたいですが、緊急手術だったので勝手に造られていて、たまたま二つとも右ですけれども。ストーマには、イレオストミー(小腸のストーマ)、コロストミー(大腸のストーマ)、ウロストミー(膀胱のストーマ)もあって、それぞれ違った苦労があります。今後は他のストーマの勉強もしたいと思います。
◎とっても素晴らしかったです。今日本当にここに来ることができて何か凄く感動しました。でんでん虫の話と共通するのかも知れないって、ふと今思ったんですけど、力の源って何ですか?
(真山さん)表現させてもらえることですかね。そして、皆さんの笑顔が見られたりすることとか。何かが変わっていくのが見られるのが、凄く幸せで、楽しくて。よく言われるのが「痛みにフォーカスしない」。好きなことをやっている間は、病気だってことも、痛みも、歩くのが大変だというのも忘れる。何かに夢中になって忘れる時間を作れたら、その時はみんな一緒。でも家に居たら、四六時中「アイタタタ」と言ってます。コロナで家に居たら化粧もしないし、今日は久々に化粧しました(笑い)。人と会うことって大事。人からもらうエネルギーって、凄いなぁーって思う。あと自分だけじゃない「私もそうよ、ぼくもそうなんだよー」とかお話聞けたりすることも。一人じゃないというのが、凄く私の中では力強いものです。
◎(声優を目指す男性)パウチを付けて声の仕事に差し支えてしまったり、逆にお芝居をしていて外れてしまうことはなかったんでしょうか?
(真山さん)そうですね、舞台とか出る時は余り食べない。せいぜいおにぎり1個ぐらいにして。ただスタジオで一度漏れちゃったことがあって大変だったことがありました。丁度自分の出番が終わってたときで、いつもは持ち歩いているので貼り替えたりしているんですが、その時はあいにく持ってなくて。近くの大きな病院に駆け込んだんです。売店に装具が置いてなかったので「すみません、漏れちゃったんですけど、備蓄してあるもの、ちょっと頂けないでしょうか?」って言ったら、「あなたは普段どこの病院に通っていますか?」「順天堂大学病院です」。それは飯田橋で、もう一つ手前の病院でした。「うちの病院の人のためのものですからあげられません。売店でテープとかあるから買って下さい」と言われて、売店で取りあえず肌に優しいテープと濡れティッシュとか買って貼って。とにかく「早く終わらないかな」と。誰にも言えないし、もうーと言うことがありました。それからは、どんなに荷物があっても貼り替え用のものを持って行くようにしています。長時間出られなくなると危ないので、そういう時は残渣の少ない、チュルチュル吸うようなものを持って行って工夫しています。
腹筋がなかなか出来なくなったので、手術したばかりの時は、笑うとか大声を出すのが、とてもキツかったです。特にキツい役が多いので大変でした。今は大丈夫ですが。
最後に、10月2日とその続編版として11月16日にNHKで放送されたエマ・大辻・ピックルスさんについて紹介しました。番組タイトルは「彼女が水着に着替えた理由 オストメイト医師の挑戦」で、このブログでhttp://tomoniikirukai.blog.jp/archives/8113047.html とhttp://tomoniikirukai.blog.jp/archives/8246880.html で内容に触れて書きましたが、ご存じじゃない方々にもぜひエマさんの思いを知ってもらいたいと思って話しました。ぜひクリックしてお読み下さい。
2回目の番組では、4歳の女の子が登場しました。この子は先天性の病気のため生後2日目にストーマになり、1回目の放送でパウチをつけた水着姿のエマさんを見て「私と同じだ」ととても嬉しそうでした。この日の参加者にも、生後まもなくストーマになったお孫さんを持つ方がおられました。先日紹介した若い女性オストメイトの会「ブーケ」の会報誌を送ってくださった方も、生まれて数日でオストメイトになったそうです。
赤ちゃんの時からずっとストーマをもっている人、エマさんのように大人になって病気でストーマになった人、女性特有の子宮筋腫などの病気でストーマになった人や腎臓を悪くして尿路ストーマになった人もおられて、年代も幅広くあります。今ストーマの人は国内で約21万人おられるそうですが、今後も増える傾向にあります。
これまでのブログで何度も書きましたが、いつ当事者になるかなんて先のことは誰にも分かりませんから、ストーマの経験者から学ぶことも大切ですし、オストメイトの人が困惑したりする場面を少しでも減らして、生きやすい社会にしていくためにも、それぞれの人が自分ごととして受け止めて、ストーマへの理解を広げていく発信基地になっていただければ良いなぁと願っています。
エマさんの仰っていたことで、最も強く印象に残っている言葉は、「人工肛門を恥ずかしいものではなく、生き延びてきた勲章にしたい。病気に打ち勝ってきたじゃない。そういう思いを共有できたら、辛かったことも、きっと生きてて良かったって思って貰えるかなと思います」です。
4歳の女の子が、大きくなった時に、いじめられるのをご両親は心配されていましたが、「生き延びてきた勲章だ」とみんなが認識するようになれば、きっと自分らしく前を向いて生きていけるでしょう。そういう社会実現への小さな一歩にこの催しがなれたのなら嬉しいです。
当日参加いただいた方から届いた感想を一部紹介させていただきます。
◎“共に生きる会”さん主催の「語りと映画で知るストーマのこと」、オストメイトのトイレマークは知ってはいたものの、実際のお話を聴くのは初めてで衝撃的でした。公表するのもどれだけの勇気が要ることか、、デリケートな部分を映画であからさまに、、絵と語りで愛らしく💖
あまりにも多くの病気と壮絶な戦い💦真山さんの不屈の精神力と明るく強く、そして精力的にしかも素敵に声優のお仕事やブーケの活動をされておられることに感動しました✨今回こういう機会を頂けて知ることが出来ました。ご縁に感謝です🙏貴重なお話をありがとうございました🙏
ぜひとも、多くの方に知っていただき理解と支援が広まり、共に生きやすい環境づくり、そして少しでも快適にご本人の苦痛が減ることを願いたいです。頂いた分かりやすい資料を周りの人へ、伝えていくお手伝いをさせていただきます🍀
次回は勉強して手話と声で朗読しますよ、、と仰って下さった真山さんと再会できることも楽しみにしています。ありがとうございました🙇
◎明るくて和やかであたたかな素敵な会だったなぁ~と思い出しています。手話のパンフレットも活用させていただきます。他の様々なパンフレットや冊子も仕事で参考にさせていただきます。最初の上映があったからこそ、当事者や現場のリアルを垣間見られた感じがして、自然とストーマやその介護・看護者の家族、専門スタッフのリアルを知ることができ、真山さんの講演前に前準備ができた気がします。
また、講演の中で真山さんが、(収録現場でストーマが漏れてしまったエピソードの際に)「でも誰にも言えないし…」と仰っていたことに、ちょっとショックを受けました。そうか、当事者が“言えない”社会を私たちは気が付かずにつくっているんだなぁ…と。内部障碍を抱えている方が、困ったときには気兼ねなく言えて、それを当たり前に受け入れられる寛容な社会をつくれるように何ができるかを改めて考えたイベントでした。
◎谷さんの『Home Nurse』は訪問看護がどのようなことをしているのかを広められる素敵な作品でした。看護師さんとヘルパーさんの仕事の違いとか、障がいをお持ちの方が子どもを持つことへの世間の厳しさなど、知っているようで知らない知識も混ぜてくださって、訪問看護の重要性だけでなく、いろんな病気をお持ちの方々への意識向上に繋がるのではないかと感じました。講演中もずっと手話でお話を続けてくださった谷さんならではの優しい配慮が活きた温かい作品ですね。せっかく手話ハンドブックも頂いたので、活用してお耳が不自由な方とも楽しくコミュニケーションが取れるようになれたら嬉しいです!
真山さんのストーマ物語は声優さんならではの安心できる優しい語り口と魅せるお声、岡田潤さんの温かくて可愛らしい水墨画がとってもマッチしていました。きっと大変な経験ばかりされたのだと思うのですが、その苦労を良い意味で感じさせない魅せ方で、前向きな気持ちでお話を聞くことができました。腹筋に力を入れて声を張り上げる声優さんのお仕事と、お腹で育っていくストーマちゃん達は時には扱いが難しいのかもしれませんが、その辺りもストーマちゃん達と向き合って上手くこなしていらっしゃるのがすごいです。
オストメイトの方達や手話について考えることができる、本当に素晴らしい機会でした。太田さんが最後に涙ぐみながら、お話しされている姿もとても印象的でした。このような優しさの輪が世界に届いていくといいですねあともう一つ、ストーマをつけながらモデルをこなされていたエマさんの考え方も素敵でした「ストーマは病気と闘ってきた勲章」そんな考えを持って、ストーマをマイナスに捉えずに皆さんが自分らしく生きられればいいなぁと思います。知らないとどうしても「大変なんじゃないの?」「ストーマなんて可哀想」みたいな無知ゆえの偏見みたいな意見なども抱いてしまいがちですが、ストーマについて知ってさえいれば、そういった偏見も少しずつ良い知識へと置き換わっていくのかな、と。今後、ストーマを知ってもらう活動が活発になれば良いですね
続けて、当日のアンケート用紙に書いて下さった感想もご紹介します。
・息子が同じような難病ですが、より深く気付くことがありました。ありがとうございました。
・ストーマのことをよく知らなかったので、お話や映画を見てよく分かりました。大変な病気の中で、元気に生きていらっしゃることを拝見して、良かったです。
・大変感動しました。微力ながら心から応援します。困難に負けず、生きてこられたにも関わらず、若々しく美しいのにパワーをいただきました。84歳で介護・看護の仕事をしています。もう少し頑張れる気がします。
・外観だけでは分からないストーマへの理解を深められた。知らされていないだけで身近な人にもおられるのかもしれない。
・去年身内がオストメイトになり、今回お話が聞けてよかったです。今までそんな機会がなかったのです。
・ストーマのことを世間の人に知ってもらうことは必要だと思います。この催しはとても良いことです。ありがとうございました。
・ストーマのことは知っていましたが、実際につけている方のお声を聞けたのが良かったです。真山さん、とてもステキな方でした💖代表の方の熱意やまっすぐな気持ちもすばらしかったです。
・初めてストーマを知りました。知ることができて良かったし、もっと沢山の方にも知って欲しいです。
・ストーマのことは今まで知らなかった。大事なお話を聞けて良かった。
・大変な病気なのに頑張っている方がおられるのだなぁ。感動しました。私も頑張ります。
・2本の映画、真山さんのお話、とてもよかったです。ストーマのこともよく知ることができました。ありがとうございました。
・催しを教えてもらって来なければ、自分からはTVでも見ないと思います。色々とても勉強させて頂きました。
・今までよく知らなかったお話をたくさん聞けて良かったです。ありがとうございました‼
・今、障害者施設でストーマの方がおられて交換等させていただいているので、とても参考になりました。あと、娘が声優を目指して頑張っているので、いろいろお話聞けて良かったです。
・ストーマについて知らなかったので、講演でお話聞けて良かったし、訪問看護のことも知ることができて、とても良い時間になりました。ありがとうございました。
・単純に楽しかったです。映画も見入りました。
・初めて知ることが沢山あって、当事者のご苦労はいかばかりかと…。感動しました。
・「人工肛門」と言う言葉は知っていましたが、詳しくお話を聞けて良かったです。
・手話通訳者がおられたので、内容を理解できました。
・生々しくて身につまされた映画でした。真山さんの話は感動した。
・大変な病気をされながらも、力強く生き生きされていて、すごいと思いました。本当にすごいです。
・知ることの大切さ、改めて認識できました。
・仕事が医療系で身近ではありましたから、とても大切なお話でした。ありがとうございました。
・具体的に知ることで、私の理解度が深まったと思います。
・勉強になりました。
・真山さんの自然体でいてパワフルに生きることや、“共に生きる会”の主旨もすばらしいと思いました。
・ストーマの実情を、生のお話で知ることができたので良かった。
・久し振りに真山さんの元気なお顔を見られて嬉しかったです。
・とても良かったです。“繊維筋痛症”の知人の活動支援をしています。手話ダンス、アカペラのパフォーマンスをしていて、真山さんと同じく「皆の前でパフォーマンスしている時は痛みを忘れる」と言っていました。活躍の場、大切ですね。
・母がストーマなので、聞きにきました。良かったです。
・真山さんのお話が聞けて、お顔を拝見できたこと、ストーマの知識が増えたことが良かった。
アンケートにお答え下さった方のうち、京都市内の方が22名、以外の方11名、不明1名で、東京、岐阜、滋賀、府内、大阪、兵庫からと、遠方からもお越し頂き、誠にありがとうございました。30代から80歳代までいろんな年齢層の方が参加して下さいました。
内容評価につきましては、①良かった32名②どちらかといえば良かった2名③どちらかと言えば良くなかった0名④良くなかった0名ということで、好意的に受け止めて下さったようで安堵しています。今後の活動への提案もいくつか書いていただきましたので、参考にさせていただきます。
最後に私個人の感想として、真山さんがスタジオでストーマが漏れて大変だった経験を話された時、自分が味わったかのような悔しさを覚えました。きっと切羽詰まり、すがるように、ストーマケアをしている大病院の看護師さんに依頼されたのでしょうが、にべもなく。そのことをとても残念に思います。こうした苦い思いをされることがないよう、臨機応変に困っている方には、優しく親切な対応をしてくださるよう切に願います。
エマさんはTwitterで「4歳の女の子のご両親とお話して、絶対叶えたい生涯の夢を見つけた。それは日本中の小学校でストーマについて講演すること。一人一人違うからこそ価値がある。自分の考えるmajority(大多数)と違うことでイジメたりするのは人として最も愚劣でダサいことだと、パウチを見せながら、まっさらな子ども達に伝えたい」とパンチのある呟きを書いておられました。
俳優の渡哲也さんが、今年8月10日78歳でお亡くなりになりました。1991(平成3)年自らが大腸がんで人工肛門であることを公表されたことで、「人工肛門」のことを知った方も多いと思います。私もその一人です。同じように国内で最初にストーマをつけた水着姿を披露したエマさんの勇気も凄いです。真山さんは2004年から今回のような啓発活動をされていて、その行動も勇気があり、素晴らしいです。お客様から「漫画家でエッセイストの内田春菊さんもだよ」と教えて頂きました。内田さんは2017年にオストメイトになったことを公表されました。
著名な方たちが前を歩きながら、ストーマのことをお話しして下さると、オストメイトの人たちの励みにもなり、一般の人たちの理解が進めば、生きやすい世の中になるはず。隠すものから病と闘って勝った勲章として誇れるものへ。そのように価値観が変われば、人の目を気にせず、堂々と温泉に浸かれる日も早晩やってくるでしょう。
この日は日本で唯一の装具メーカーの人も参加して下さいました。今のように透明なパウチから中身が見えないお洒落で肌に優しい安全で使いやすい、できればお手頃な値段のパウチが誕生すると良いですね。『あんたの家』のように、貧困とストーマ、そして老いが重なれば、誰しも生き辛い。自助を強調するばかりではなく、困っている人にこそ手を差し伸べる温かい政治であって欲しい。せめて私どもは、この日の学びも活かしつつ、コツコツと共に生きやすい環境づくりに尽力したいと思います。ご参加いただいた皆様、実施に際し多大なご協力を賜りました皆様に、心より御礼を申し上げます。ありがとうございました!!!!!
13時の回に参加して下さった皆様と。
17時の回に参加して下さった皆様と。
◎60年前に看護師の資格を取った84歳の女性から
ずっと昔、私が結婚するときに38歳で仲人をしてくださった人が大腸の病気になり、ストーマになられた。その頃、こんな立派なストーマはなかった。その方がもの凄く苦労しておられたのを知っているので、こんな良いものができて、皆さんそんなもんやないと言われるかもしれませんが、随分助けられているんじゃないかと思いました。大変ですけど、頑張ってください。
(真山さん)昔の方の話を聞くと大変で。今も海外の経済的に貧しい所では、洗って使い回すなど本当に大変で、今の時代で良かったと思います。装具の会社の方にも助けられていますし、お洒落で、どんどん良いものを開発していただきたいです。ストーマになったからって出来ないことはなくて、山登りしている人もいれば、スイマーの人もいます。何でもできます。悲観的に考えないで大丈夫な時代になりました。
◎ストーマを付ける位置はどう決める?
(真山さん)最初に設計図というか、医師から説明があって、何処に付けるか話はできるみたいですが、緊急手術だったので勝手に造られていて、たまたま二つとも右ですけれども。ストーマには、イレオストミー(小腸のストーマ)、コロストミー(大腸のストーマ)、ウロストミー(膀胱のストーマ)もあって、それぞれ違った苦労があります。今後は他のストーマの勉強もしたいと思います。
◎とっても素晴らしかったです。今日本当にここに来ることができて何か凄く感動しました。でんでん虫の話と共通するのかも知れないって、ふと今思ったんですけど、力の源って何ですか?
(真山さん)表現させてもらえることですかね。そして、皆さんの笑顔が見られたりすることとか。何かが変わっていくのが見られるのが、凄く幸せで、楽しくて。よく言われるのが「痛みにフォーカスしない」。好きなことをやっている間は、病気だってことも、痛みも、歩くのが大変だというのも忘れる。何かに夢中になって忘れる時間を作れたら、その時はみんな一緒。でも家に居たら、四六時中「アイタタタ」と言ってます。コロナで家に居たら化粧もしないし、今日は久々に化粧しました(笑い)。人と会うことって大事。人からもらうエネルギーって、凄いなぁーって思う。あと自分だけじゃない「私もそうよ、ぼくもそうなんだよー」とかお話聞けたりすることも。一人じゃないというのが、凄く私の中では力強いものです。
◎(声優を目指す男性)パウチを付けて声の仕事に差し支えてしまったり、逆にお芝居をしていて外れてしまうことはなかったんでしょうか?
(真山さん)そうですね、舞台とか出る時は余り食べない。せいぜいおにぎり1個ぐらいにして。ただスタジオで一度漏れちゃったことがあって大変だったことがありました。丁度自分の出番が終わってたときで、いつもは持ち歩いているので貼り替えたりしているんですが、その時はあいにく持ってなくて。近くの大きな病院に駆け込んだんです。売店に装具が置いてなかったので「すみません、漏れちゃったんですけど、備蓄してあるもの、ちょっと頂けないでしょうか?」って言ったら、「あなたは普段どこの病院に通っていますか?」「順天堂大学病院です」。それは飯田橋で、もう一つ手前の病院でした。「うちの病院の人のためのものですからあげられません。売店でテープとかあるから買って下さい」と言われて、売店で取りあえず肌に優しいテープと濡れティッシュとか買って貼って。とにかく「早く終わらないかな」と。誰にも言えないし、もうーと言うことがありました。それからは、どんなに荷物があっても貼り替え用のものを持って行くようにしています。長時間出られなくなると危ないので、そういう時は残渣の少ない、チュルチュル吸うようなものを持って行って工夫しています。
腹筋がなかなか出来なくなったので、手術したばかりの時は、笑うとか大声を出すのが、とてもキツかったです。特にキツい役が多いので大変でした。今は大丈夫ですが。
最後に、10月2日とその続編版として11月16日にNHKで放送されたエマ・大辻・ピックルスさんについて紹介しました。番組タイトルは「彼女が水着に着替えた理由 オストメイト医師の挑戦」で、このブログでhttp://tomoniikirukai.blog.jp/archives/8113047.html とhttp://tomoniikirukai.blog.jp/archives/8246880.html で内容に触れて書きましたが、ご存じじゃない方々にもぜひエマさんの思いを知ってもらいたいと思って話しました。ぜひクリックしてお読み下さい。
2回目の番組では、4歳の女の子が登場しました。この子は先天性の病気のため生後2日目にストーマになり、1回目の放送でパウチをつけた水着姿のエマさんを見て「私と同じだ」ととても嬉しそうでした。この日の参加者にも、生後まもなくストーマになったお孫さんを持つ方がおられました。先日紹介した若い女性オストメイトの会「ブーケ」の会報誌を送ってくださった方も、生まれて数日でオストメイトになったそうです。
赤ちゃんの時からずっとストーマをもっている人、エマさんのように大人になって病気でストーマになった人、女性特有の子宮筋腫などの病気でストーマになった人や腎臓を悪くして尿路ストーマになった人もおられて、年代も幅広くあります。今ストーマの人は国内で約21万人おられるそうですが、今後も増える傾向にあります。
これまでのブログで何度も書きましたが、いつ当事者になるかなんて先のことは誰にも分かりませんから、ストーマの経験者から学ぶことも大切ですし、オストメイトの人が困惑したりする場面を少しでも減らして、生きやすい社会にしていくためにも、それぞれの人が自分ごととして受け止めて、ストーマへの理解を広げていく発信基地になっていただければ良いなぁと願っています。
エマさんの仰っていたことで、最も強く印象に残っている言葉は、「人工肛門を恥ずかしいものではなく、生き延びてきた勲章にしたい。病気に打ち勝ってきたじゃない。そういう思いを共有できたら、辛かったことも、きっと生きてて良かったって思って貰えるかなと思います」です。
4歳の女の子が、大きくなった時に、いじめられるのをご両親は心配されていましたが、「生き延びてきた勲章だ」とみんなが認識するようになれば、きっと自分らしく前を向いて生きていけるでしょう。そういう社会実現への小さな一歩にこの催しがなれたのなら嬉しいです。
当日参加いただいた方から届いた感想を一部紹介させていただきます。
◎“共に生きる会”さん主催の「語りと映画で知るストーマのこと」、オストメイトのトイレマークは知ってはいたものの、実際のお話を聴くのは初めてで衝撃的でした。公表するのもどれだけの勇気が要ることか、、デリケートな部分を映画であからさまに、、絵と語りで愛らしく💖
あまりにも多くの病気と壮絶な戦い💦真山さんの不屈の精神力と明るく強く、そして精力的にしかも素敵に声優のお仕事やブーケの活動をされておられることに感動しました✨今回こういう機会を頂けて知ることが出来ました。ご縁に感謝です🙏貴重なお話をありがとうございました🙏
ぜひとも、多くの方に知っていただき理解と支援が広まり、共に生きやすい環境づくり、そして少しでも快適にご本人の苦痛が減ることを願いたいです。頂いた分かりやすい資料を周りの人へ、伝えていくお手伝いをさせていただきます🍀
次回は勉強して手話と声で朗読しますよ、、と仰って下さった真山さんと再会できることも楽しみにしています。ありがとうございました🙇
◎明るくて和やかであたたかな素敵な会だったなぁ~と思い出しています。手話のパンフレットも活用させていただきます。他の様々なパンフレットや冊子も仕事で参考にさせていただきます。最初の上映があったからこそ、当事者や現場のリアルを垣間見られた感じがして、自然とストーマやその介護・看護者の家族、専門スタッフのリアルを知ることができ、真山さんの講演前に前準備ができた気がします。
また、講演の中で真山さんが、(収録現場でストーマが漏れてしまったエピソードの際に)「でも誰にも言えないし…」と仰っていたことに、ちょっとショックを受けました。そうか、当事者が“言えない”社会を私たちは気が付かずにつくっているんだなぁ…と。内部障碍を抱えている方が、困ったときには気兼ねなく言えて、それを当たり前に受け入れられる寛容な社会をつくれるように何ができるかを改めて考えたイベントでした。
◎谷さんの『Home Nurse』は訪問看護がどのようなことをしているのかを広められる素敵な作品でした。看護師さんとヘルパーさんの仕事の違いとか、障がいをお持ちの方が子どもを持つことへの世間の厳しさなど、知っているようで知らない知識も混ぜてくださって、訪問看護の重要性だけでなく、いろんな病気をお持ちの方々への意識向上に繋がるのではないかと感じました。講演中もずっと手話でお話を続けてくださった谷さんならではの優しい配慮が活きた温かい作品ですね。せっかく手話ハンドブックも頂いたので、活用してお耳が不自由な方とも楽しくコミュニケーションが取れるようになれたら嬉しいです!
真山さんのストーマ物語は声優さんならではの安心できる優しい語り口と魅せるお声、岡田潤さんの温かくて可愛らしい水墨画がとってもマッチしていました。きっと大変な経験ばかりされたのだと思うのですが、その苦労を良い意味で感じさせない魅せ方で、前向きな気持ちでお話を聞くことができました。腹筋に力を入れて声を張り上げる声優さんのお仕事と、お腹で育っていくストーマちゃん達は時には扱いが難しいのかもしれませんが、その辺りもストーマちゃん達と向き合って上手くこなしていらっしゃるのがすごいです。
オストメイトの方達や手話について考えることができる、本当に素晴らしい機会でした。太田さんが最後に涙ぐみながら、お話しされている姿もとても印象的でした。このような優しさの輪が世界に届いていくといいですねあともう一つ、ストーマをつけながらモデルをこなされていたエマさんの考え方も素敵でした「ストーマは病気と闘ってきた勲章」そんな考えを持って、ストーマをマイナスに捉えずに皆さんが自分らしく生きられればいいなぁと思います。知らないとどうしても「大変なんじゃないの?」「ストーマなんて可哀想」みたいな無知ゆえの偏見みたいな意見なども抱いてしまいがちですが、ストーマについて知ってさえいれば、そういった偏見も少しずつ良い知識へと置き換わっていくのかな、と。今後、ストーマを知ってもらう活動が活発になれば良いですね
続けて、当日のアンケート用紙に書いて下さった感想もご紹介します。
・息子が同じような難病ですが、より深く気付くことがありました。ありがとうございました。
・ストーマのことをよく知らなかったので、お話や映画を見てよく分かりました。大変な病気の中で、元気に生きていらっしゃることを拝見して、良かったです。
・大変感動しました。微力ながら心から応援します。困難に負けず、生きてこられたにも関わらず、若々しく美しいのにパワーをいただきました。84歳で介護・看護の仕事をしています。もう少し頑張れる気がします。
・外観だけでは分からないストーマへの理解を深められた。知らされていないだけで身近な人にもおられるのかもしれない。
・去年身内がオストメイトになり、今回お話が聞けてよかったです。今までそんな機会がなかったのです。
・ストーマのことを世間の人に知ってもらうことは必要だと思います。この催しはとても良いことです。ありがとうございました。
・ストーマのことは知っていましたが、実際につけている方のお声を聞けたのが良かったです。真山さん、とてもステキな方でした💖代表の方の熱意やまっすぐな気持ちもすばらしかったです。
・初めてストーマを知りました。知ることができて良かったし、もっと沢山の方にも知って欲しいです。
・ストーマのことは今まで知らなかった。大事なお話を聞けて良かった。
・大変な病気なのに頑張っている方がおられるのだなぁ。感動しました。私も頑張ります。
・2本の映画、真山さんのお話、とてもよかったです。ストーマのこともよく知ることができました。ありがとうございました。
・催しを教えてもらって来なければ、自分からはTVでも見ないと思います。色々とても勉強させて頂きました。
・今までよく知らなかったお話をたくさん聞けて良かったです。ありがとうございました‼
・今、障害者施設でストーマの方がおられて交換等させていただいているので、とても参考になりました。あと、娘が声優を目指して頑張っているので、いろいろお話聞けて良かったです。
・ストーマについて知らなかったので、講演でお話聞けて良かったし、訪問看護のことも知ることができて、とても良い時間になりました。ありがとうございました。
・単純に楽しかったです。映画も見入りました。
・初めて知ることが沢山あって、当事者のご苦労はいかばかりかと…。感動しました。
・「人工肛門」と言う言葉は知っていましたが、詳しくお話を聞けて良かったです。
・手話通訳者がおられたので、内容を理解できました。
・生々しくて身につまされた映画でした。真山さんの話は感動した。
・大変な病気をされながらも、力強く生き生きされていて、すごいと思いました。本当にすごいです。
・知ることの大切さ、改めて認識できました。
・仕事が医療系で身近ではありましたから、とても大切なお話でした。ありがとうございました。
・具体的に知ることで、私の理解度が深まったと思います。
・勉強になりました。
・真山さんの自然体でいてパワフルに生きることや、“共に生きる会”の主旨もすばらしいと思いました。
・ストーマの実情を、生のお話で知ることができたので良かった。
・久し振りに真山さんの元気なお顔を見られて嬉しかったです。
・とても良かったです。“繊維筋痛症”の知人の活動支援をしています。手話ダンス、アカペラのパフォーマンスをしていて、真山さんと同じく「皆の前でパフォーマンスしている時は痛みを忘れる」と言っていました。活躍の場、大切ですね。
・母がストーマなので、聞きにきました。良かったです。
・真山さんのお話が聞けて、お顔を拝見できたこと、ストーマの知識が増えたことが良かった。
アンケートにお答え下さった方のうち、京都市内の方が22名、以外の方11名、不明1名で、東京、岐阜、滋賀、府内、大阪、兵庫からと、遠方からもお越し頂き、誠にありがとうございました。30代から80歳代までいろんな年齢層の方が参加して下さいました。
内容評価につきましては、①良かった32名②どちらかといえば良かった2名③どちらかと言えば良くなかった0名④良くなかった0名ということで、好意的に受け止めて下さったようで安堵しています。今後の活動への提案もいくつか書いていただきましたので、参考にさせていただきます。
最後に私個人の感想として、真山さんがスタジオでストーマが漏れて大変だった経験を話された時、自分が味わったかのような悔しさを覚えました。きっと切羽詰まり、すがるように、ストーマケアをしている大病院の看護師さんに依頼されたのでしょうが、にべもなく。そのことをとても残念に思います。こうした苦い思いをされることがないよう、臨機応変に困っている方には、優しく親切な対応をしてくださるよう切に願います。
エマさんはTwitterで「4歳の女の子のご両親とお話して、絶対叶えたい生涯の夢を見つけた。それは日本中の小学校でストーマについて講演すること。一人一人違うからこそ価値がある。自分の考えるmajority(大多数)と違うことでイジメたりするのは人として最も愚劣でダサいことだと、パウチを見せながら、まっさらな子ども達に伝えたい」とパンチのある呟きを書いておられました。
俳優の渡哲也さんが、今年8月10日78歳でお亡くなりになりました。1991(平成3)年自らが大腸がんで人工肛門であることを公表されたことで、「人工肛門」のことを知った方も多いと思います。私もその一人です。同じように国内で最初にストーマをつけた水着姿を披露したエマさんの勇気も凄いです。真山さんは2004年から今回のような啓発活動をされていて、その行動も勇気があり、素晴らしいです。お客様から「漫画家でエッセイストの内田春菊さんもだよ」と教えて頂きました。内田さんは2017年にオストメイトになったことを公表されました。
著名な方たちが前を歩きながら、ストーマのことをお話しして下さると、オストメイトの人たちの励みにもなり、一般の人たちの理解が進めば、生きやすい世の中になるはず。隠すものから病と闘って勝った勲章として誇れるものへ。そのように価値観が変われば、人の目を気にせず、堂々と温泉に浸かれる日も早晩やってくるでしょう。
この日は日本で唯一の装具メーカーの人も参加して下さいました。今のように透明なパウチから中身が見えないお洒落で肌に優しい安全で使いやすい、できればお手頃な値段のパウチが誕生すると良いですね。『あんたの家』のように、貧困とストーマ、そして老いが重なれば、誰しも生き辛い。自助を強調するばかりではなく、困っている人にこそ手を差し伸べる温かい政治であって欲しい。せめて私どもは、この日の学びも活かしつつ、コツコツと共に生きやすい環境づくりに尽力したいと思います。ご参加いただいた皆様、実施に際し多大なご協力を賜りました皆様に、心より御礼を申し上げます。ありがとうございました!!!!!
13時の回に参加して下さった皆様と。
17時の回に参加して下さった皆様と。