多くの人にとっては、3連休初日になる11月21日(土)に、「共に生きる会」最初の催しをします。取り上げるのは「ストーマ」です。病気や事故などが原因で、肛門や尿道から排泄できなくなったとき、手術でお腹に排泄物の出口(人工肛門や人工膀胱)をつくり、そこに袋状のパウチを貼って受けます。この人工肛門や人工膀胱のことを「ストーマ」といい、ストーマを造設している人のことを「オストメイト」と表しています。
外見からは、まったく分かりませんが、全国には21万人以上のオストメイトがおられます。この夏出会った人の中に、6月に大腸癌が見つかったご主人がオストメイトになられたり、「実は母がオストメイトなんです」という方がおられました。想像以上に身近にオストメイトがおられることに驚きました。
いつどこで、病気や怪我に遭うか、誰も先のことはわかりません。自分や家族など身近な人が、ドクターから「人工肛門や人工膀胱になるかも知れない」と言われたときに、少しでも冷静に受け止められるよう予備知識として知っておくことは大切だと思いますし、そうした人が身近におられるかもしれないと想像力を働かせながら、人に優しく行動することも大切だと思うのです。
『ちびまる子』ちゃんの杉山君役を始め、アニメや海外ドラマに声で多数出演されている真山亜子さんとは、私が普段活動している「おもちゃ映画ミュージアム」のイベントで知り合いました。病気の治療で大腸と小腸の2つのストーマを造設されましたが、全く外見からは分からず、とても明るて素敵な女性です。帰り際にそっと渡して下さったのが、ブーケ(若い女性オストメイトの会)発行の「オストメイトって、なに⁉︎」でした。
それから9ヵ月後の2019年11月5日付け京都新聞連載「病、それから」㊳で、真山亜子さんが大きく取り上げられていました。共同通信配信なので全国各地の新聞にも順次掲載され、お読みになられた方もおられるでしょう。見出しは「二つの難病でストーマ造設」「俳優断念も、『語り』に活路」「人と触れ合い元気になれる」でした。二つの難病というのは、クローン病とベーチェット病です。
記事冒頭部分に「真山亜子さんの人生は病気続きだ」とありますが、本当に若い頃から大変な経験をされていますが、この催しのために連絡を取り合っている間も、ずっと前向きで、親切に対応して下さってありがたかったです。真山さんの「オストメイトについて、少しでも多くの人に理解してもらって、共に過ごせたら」という思いを是非受け止めて、お話を聞いていただければ嬉しいです。
今度の催しのために岡田潤さんがイラストを一新してくださったお話「真山亜子のストーマちゃん物語」と新美南吉原作『でんでんむしのかなしみ』(1935年)を朗読してもらいます。ある日、自分の背中の殻に悲しみが一杯詰まっていることに気付いたカタツムリは、友達に「もう生きていけないのではないか」と自分が背負っている不幸を話します。友達のカタツムリは「悲しみを背負っているのは君だけじゃないよ」と答え、別のカタツムリも同じように答えます。
27日、人気俳優の竹内結子さんが亡くなり、自殺とみられると報道され、とても驚きました。理由はわかりませんが、俳優さんの自殺が相次ぎ、心が痛みます。カタツムリは、「悲しみを背負っているのは自分だけじゃない。私は悲しみを堪えて生きていかなければならない」と、もう嘆くのを止めたところで終わります。「このお話が届いていたなら」と今更ながら、悲しく思います。
真山さんのお話に先駆けて、オストメイトが登場する映画2作品をご覧いただきます。最初に山川公平監督『あんたの家』(2008年)。大阪芸術大学映像学科卒業制作で、ぴあフィルムフェスティバル2010グランプリ、水戸短編映画祭2009準グランプリ、第23回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」、ロッテルダム国際映画祭2010フォーラム部門で上映された優秀作品です。
もう1作品は一緒に活動している谷進一監督の『Home Nurse~訪問看護の時間~』(2019年)です。役者もこなす谷さんの本業は、高齢者の在宅生活を支援する訪問看護師。便秘、ストーマ、糖尿病、終末期看護の利用者さんを描き、第16回さがの映像祭ほかで上映された短編。監督デビュー作『手話刑事』は手話映像祭で優秀賞受賞、初の長編手話映画『卒業~スタートライン~』(2017年)は関西を中心に東京や横浜などでも上映。詳しくは聾宝手話映画をご覧下さい。
谷さんは手話ができる訪問看護師。その経験を反映して、作品にはストーマご夫妻や終末期看護の家族に手話で対応しています。来年は谷監督の新作手話映画上映を計画していることもあり、ろう者のイラストレーター小川和久さんのご協力でリーフレット「日常使う手話 イラスト50」を作ります。参加者の皆様にプレゼントしますので、これを機会に手話にも関心を持って頂けたら嬉しいです。
他にも、今回ご協力いただいたNPO法人ストーマ・イメージアップ・プロジェクトさんと前掲ブーケさんのストーマに関する冊子もお配りします。ストーマについての理解が進む一助になればと願っています。
今回の取組みは、京都府地域交響プロジェクト交付金、京都市中京区まちづくり支援事業補助金交付事業です。社会福祉法人京都市中京区社会福祉協議会の後援、朱一学区民生児童委員協議会、聾宝手話映画の協力を受けて開催します。
第1部と第2部=各先着25名で、一般1800円(障害手帳持参者と介助者は各1500円。車椅子入場可)。
申し込みは、会場の「おもちゃ映画ミュージアム」へ◎℡075-803-0033◎fax075-803-0034◎直接
(京都市中京区壬生馬場町29-1) ◎電子メールfumiyo@toyfilm-museum.jp
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