今年5月にふと思い立って、活動を通じて知り合ったお二人に声掛けをして、「共に生きる会」という小さな会を立ち上げました。いくつかの候補の中から、一番短い名称を選びました。資金も何もないのですが、日頃取り組んでいる無声映画を始めとするフィルムの保存活動とは別に、モノではなく「人と人が関わり合いながら、住みやすい社会を作るための一助になる活動ができたら良いなぁ」という思いで呼びかけました。

メンバーは、一般社団法人京都映画芸術文化研究所理事で、おもちゃ映画ミュージアムを運営している太田文代と本業の訪問看護師の他、映画監督、俳優としても活躍の谷進一さん、ホームヘルパー、生活支援員、子ども食堂や博物館のボランティアとして活躍されている藤岡さんの3人です。

No.4-1-11 - 京都ニュース
貼り付けた写真は、保存と活用を訴えている「京都ニュース」の1956(昭和31)年№4の「敬老の日」の動画からとった1シーンです。「京都ニュース」は1956~94年に当時の京都市広報局が制作し、映画館で上映していた市政報告会や祭事、景観の変化など、当時の市民生活の話題を集めた貴重な映像記録です。

3世代同居が普通に見られる富山県の田舎で生まれ育った私などには、写真は今も見慣れた光景ですが、活動拠点の京都市内では住宅事情の関係もあるのでしょうけど一人暮らし世帯や核家族が増えていて、余り見かけることがなくなりました。富山では共働き世帯が多いので、祖父母が孫の世話を引き受けて親を支えている場合が多く、自然とおじいちゃん子、おばあちゃん子が増えて、お年寄りに対しても思いやりがある優しい子が多いように感じています。

小さな我が子を虐待する事件が後を絶ちませんが、親自身に余裕や知識がなく、密室化した室内でどうすればいいのか分からないまま、大事に至っているケースが多いように思います。地域ぐるみで子育てをして、見守り育てることが必要だと思います。

支え、支えられて生きていく社会は、自分にとっても住みやすい社会のはず。今は元気でも、いつ病気や怪我で不自由な生活になるか、先のことは誰もわかりません。

街中でこのヘルプマークを下げている人をよく見かけるようになりました。

helpmark
京都府のホームページを見ると、以下のように書いてあります。

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外見からは分からなくても援助が必要な方がいます。
このマークを見かけたら、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、
思いやりのある行動をお願いします。


義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで援助を得やすくなるよう、作成したマークです。

街中や公共交通機関など生活の様々な場所で、周囲からの配慮を必要としている方がいます。
ヘルプマークを身に付けた方を見かけた場合は、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。

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このマークは身体面で支援が必要な人向けなのでしょうが、こころの面でも、例えば子育てで困難な状況にある親御さん、あるいは、親の愛情を受けられずに内心で悲鳴を上げている子どもさんにも、目に見えるか見えないかは別として、何らかのヘルプマークがあれば良いですね。「どうしたの?」という声かけで救われる場合もきっとあると思うのです。

そして、面倒だからと見て見ぬ振りをする隣人ではなく、多少なりともお節介おじさん、おばさん、お兄さん、お姉さんになって、いろんなことを「我がこと」として考え、手を差し伸べる世の中になれば良いなぁと思います。

会を立ち上げて間もなく、同じ京都市中京区内でALS嘱託殺人事件が起きました。通りから見るいくつものマンションの窓、窓、窓。その窓の向こう側に「安楽死」を願っていた人がいたなんて、と身近で起こった事件だけに大きな衝撃を受けました。

「誰も苦しみを分かってくれない」と感じて孤独に陥り、消えてしまいたいと思ったり、「健康で活躍していないと生きる意味がない」と思ってしまえば、病気や障害を抱えると絶望してしまいます。「生きている、それだけで十分愛おしい」という感覚を大事にできる世の中に、みんなが手を差し伸べながらしていけたら良いなぁと思います。

会を立ち上げて、最初の事業はストーマ(人工肛門、人工膀胱)について体験者のお話をお聞きし、さらにオストメイト(ストーマ保持者)になった人が登場する映画を見て、外見では分からない「ヘルプマーク」の人々のことを知る催しをします。いつ当事者になるか誰も分からないのですから、その時に慌てることがないよう知っておくのも1つですし、そうした人が案外身近におられることに気付くことも、お互いに気持ちよく生きていく上で大切なこと。思いやりのある社会への一歩になればと計画しました。次回は、そのご案内を致します。               ~ 敬老の日に ~