今日のTwitterで、エマ・大辻・ピックルスさんが情報発信されていました。私は仕事をしていて、その時間に見ることが叶いませんので、留守録設定します。皆様も可能でしたら、ぜひご覧下さい‼

NHK BS1 2月13日(土) 22:00~ (50分)放送です 「オストメイトモデル 私が“モデル”になった理由」 NHK ザ・ヒューマン

【2月14日 続き】
驚きました、夕べのエマ・大辻・ピックルスさんを紹介した番組の影響でしょうか、このブログにアクセスして下さった方が昨日一日で697人もおられました‼ 私の名前で書いているFacebookにも70歳の方から友達リクエストが来て、「エマさんと繋がりたい」という橋渡しの希望が書いてありました。この方、昨年8月にオストメイトになられたそう。「こんな体で静かに過そうと決めていましたが、エマさんが立ち上がったので本当に勇気もらいました」と書いてくださいました。「こんな体」というのが気になりますが、それは、今朝留守録しておいた番組を見た所為かもしれません。


「ザ・ヒューマン」で紹介されていた内容の多くは、昨年10月2日「ニュースシブ5時」と11月16日「ストーリーズ」と重なる内容でした。初めてエマ先生の活動について知ることになる人たちに向けての親切な番組設計となっていました。その重なっている内容については、これまでのブログで書いていますので省かせていただきますが、前2回放送以降、エマさんがオストメイトモデルとして、新たな活動を始められた様子部分について書いてみます。

「外からは分からないため、理解が進んでいない。理解が進んでいないから、知られたくない」、これが日本に於ける約21万人もおられるオストメイトが直面する厳しい現実です。日本オストミー協会が2019年に調査した結果では、オストメイトの約4割が「温泉や銭湯を利用しない」と回答しているそうで、人目を気にして、生き辛さを抱えている人が少なくないことが分かります。

エマさんも「パウチ(排泄物を受け止める袋)の扱いに慣れるまで、便が漏れることは日常茶飯事で、街で下水の臭いがすると、自分から臭っているのではないかと不安になった」と言います。「排泄物とお付き合いしていくってことに対して、自分が生きていくために必須なんだけれども、こんなに心がえぐれる思いもしていかなきゃいけないんだ。こんなうんちパックをぶら下げている自分なんて、愛してもらえないとか、もう前の自分と同じ肉体的な価値はないんじゃないかという、諦めなきゃいけないものがあるとは知らなかった」と語ります。

この思いが、先の男性の「こんな体」という言葉に表れていると思いました。でも、エマさんの視線は過去ではなく、未来に向けて注がれています。その柔軟で強いまなざしに惹かれます。エマさんが前向きに考えるようになったきっかけの一つが、番組では語られなかったウインドケアナースの助言だったようです。『通販生活』
2021春号に落合恵子さんとエマさんの対談が載っています。その対談の中で「ウインドケアナース」さんから教わったことが書いてあります。馴染みのない言葉ですが「ウインドケアナース」は、ストーマをつくった後のフォローをしてくれる看護師さんのこと。彼女たちから「パウチは日本では透明のものしかないけれど海外では違う。海外にはオストメイトモデルがいる」などということを教わったのだそうです。きっとエマさんの考えに心打たれて、ウインドケアナースさんたちが、一生懸命海外の情報を集めて下さったのはないかと勝手に想像しています。

ウインドケアナースさんたちから教わった一人にイギリスのオストメイトモデルのアンバーさんがいました。アパレルメーカーのモデルとして契約し、商品のPRをしたり、当事者のニーズを届けることで、次々と新しい商品が生まれています。アンバーさんが透明じゃないパウチを付けて、プールで堂々とエンジョイしているオフショットを見て、エマさんは強く惹かれます。そして、「オストメイトになってもハッピーな人生が待っているんだよっていうことを伝えているんだな」と思ったそうです。

オストメイトのことをもっと知ってもらいたい、オストメイトがおかれている状況を変えたい、そう思ったエマさんは昨年夏から日本で最初のオストメイトモデルとして活動をスタート。自費で水着姿の写真を撮りSNSで公開、装具メーカーに不透明なパウチを作ってほしいと交渉、企業とモデル契約の交渉をしたりと行動しておられます。

その熱心さ、ひたむきさが届いたのか、NHKの担当者がエマさんの後輩だった幸運もあり、半年間に3回も特集が組まれて放送されました。最初の夕方の番組「ニュースシブ5時」の反響が大きく、その続編、さらに続編という形で、エマさんの動きや考えが広く紹介されました。凄いことだと思います。

昨日の番組では、デンマークに本社があるパウチメーカー「コロプラスト社」とキャンペーンモデルの契約を交わし、宣伝用の写真を撮影する場面が写っていました。スレンダーなエマさんが黒いスーツを着こなし、白いパウチを付けてカメラの前に。「究極の格好悪いものとされているものを、究極の格好良くスタイリッシュなものにする。そうすれば、マイナスのイメージが払拭されるんじゃないか」とエマさん。

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昨年11月21日の催しのためにコロブラスト社、ホリスター社からも冊子を送ってもらい、展示と配布をしました。上掲はコロブラスト社の冊子で、「色や形はさまざまで、用途に応じて選ぶことができます」と書かれ、「不透明」と書かれたパウチも載っています。
コロプラスト社は139ヵ国に販売し、年商3千億円以上でグローバルシェア1位を誇る企業だそうです。

その日本の社長ステファン・リンデ・ヤコブさんのお父さんもオストメイトなのだそうです。「他の国ではストーマを隠すための不透明な製品がスタンダードだが、透明なパウチのニーズが高い日本では余り知られていないので、海外のように売れていない」とか。4歳のオストメイトの女児も「見えるのが恥ずかしい」と言っていたのに、手術直後は致し方ないとはいえ、どうして日本はその後も排泄物が見えるパウチのニーズが高いのでしょう?

さて、もうひとつエマさんが始めようとしておられるのが、イギリスのニコラ・デイムズさんの仕事の手伝い。ニコラさん自身29歳の時にオストメイトになったことで、自分が欲しい下着のデザインを始めたそうです。今では世界20ヵ国以上に彼女の会社が作った水着や肌着など150以上のアイテムが販売。ニコラさんが目指したのが「オストメイトになっても、生活の質を落とさないこと。病気があっても絶対に人生の邪魔をさせない。ストーマは人生の可能性を奪うものではなくて、与えてくれるものです。人工肛門と生きる私たち自身が、人工肛門と進化していく必要があります」は、なんて素晴らしい考え方でしょう。この言葉が自殺や欝に心が向かう歯止めになれば良いです。

エマさんは言います「多様性を認める文化の違いもあるけれど、社会全体にそういうことに対するサポートがあるんですよね、きっと。日本では諦めなくちゃいけないことが、もしかしたら少ないのかもしれない。大きな進化の先を見た感じがした」と。折しも、森さんの女性蔑視発言が問題になっていますが、日本に根強く残っている考え方が、ちょいと顔を覗かせただけで、いろんな面で日本は遅れているなぁと思いました。

エマさんの活動が新しい風を呼び、障碍のあるなしに関わらず、堂々とその人らしく生きていける世の中への一歩になれば良いなぁと心から願います。