映画『ヒゲの校長』上映に向けて、バタバタしている毎日ですが、そんな中でも関心を持っている強制不妊問題に関する記事が2回京都新聞に載っていましたので、少し遅くなりましたが掲載します。
2022年9月23日付け京都新聞
9月23日付け紙面です。聴覚障害のある大阪府の70代夫婦が国に、旧優生保護法(1948-96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は旧法を憲法違反とした上で、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過したと判断して、請求を棄却しました。

別の今年2月と3月に行われた大阪高裁と東京高裁では「時の壁」を乗り越える画期的判決を出して、国に賠償を命じたので、流れは変わるかなぁと少しは期待していただけに、とても残念な結果です。生後50日で高熱のため聴力を失った女性は20代で何の説明もないまま不妊手術を受けさせられたと言います。手術から48年、下腹部にはその折の約4センチの傷痕が残っているそうです。

女性は2018年仙台で提起された全国初の同種訴訟をめぐる報道で知って裁判を決意しますが、重要な証拠となる手術記録がなかったことから、手術を証明してくれる医師を探すのに時間がかかり、提訴したのは2019年12月のことでした。このため「訴訟提起に必要な情報を得られるようになった時から6か月以内に提訴する」ことができず、地裁では「除斥期間が経過した」と判断されました。

今年6月の法廷で、女性は手話で「息子は耳が聞こえる。障害は関係ない。子を産めるか産めないかは国が決めることではない」と訴えました。全くその通りだと思います。
2022年9月27日付け京都新聞

こちらは9月27日付け京都新聞。仙台、東京、名古屋の地裁に、「旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは、個人の尊厳の侵害で違憲だ」として、障がい者ら6名が国に損害賠償を求めて一斉に提訴したそうです。昨年6月の第2回事業で「映画『ここにおるんじゃけぇ』から強制不妊問題を考える」をした折に、国が被害者に一律320万円を支給する一時金の額についても話題になり「余りにも少なくて気の毒すぎる」との意見が出ましたが、この一時金額の見直しも、国は見直しをすると言いつつ具体化していません。該当者たちは高齢なので、一刻も早い救済が求められます。

うっかり記事を読み逃しましたが、9月国連の障害者権利委員会は旧優生保護法問題について、救済制度を見直して、申請期限を設けないことや全ての被害の特定と補償などを日本政府に勧告し、適切な救済がなされるよう促したのだそうです。

国の統計上だけでも被害者は約2万5千人もおられ、人生で抱えさせられた代償としては僅かな金額でしかない320万円の一時金でさえ、認定されたのは約千人しかおられないそうです。『ヒゲの校長』への後援申請ができないかと思って、京都市聴覚言語障害センターを訪れた時、玄関のラックにこの問題の救済制度を書いたチラシを見ましたが、まだまだご存じじゃない方、人目を気にして声を上げない方も大勢おられるのではないかと思いました。

旧優生保護法下で大変な目に遭った方々に「時の壁」を適用することなく、一日も早く救済して上げて欲しいと願わずにはおれません。

11月3日に実施する共に生きる会第3回事業「手話映画をNISSHA本館(国・登録有形文化財)で観よう!」は、お陰様で申し込みが相次ぎ、会場の一般財団法人NISSHA財団様にお願いして、急遽席数を第一部、第二部とも30席ずつ増やしました。それでも第一部は既に満席で、第二部も今日あたりで満席になります。多くの方に関心を寄せて頂きましたこと、心より御礼を申し上げます。

それでも鑑賞ご希望の方には恐縮ですが、“キャンセル待ち”という形で登録させていただき、空きが出次第ご連絡を差し上げる方法にて対処させて頂きます。どうぞ宜しくお願いいたします。

なお、ご予約を頂いたお客様で当日参加が難しいと思われる事態になられた方がおられましたら、できるだけ速やかにご連絡をお願いしたいです。電子メールの場合はfumiyo@toyfilm-museum.jp、電話の場合は075-803-0033、ファクスの場合は075-803-0034(いずれもおもちゃ映画ミュージアム内)へお願いいたします。
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チラシ右上に小さく書きましたが、10月5日(月)~30日(日)に、おもちゃ映画ミュージアム(京都市中京区壬生馬場町29番地1。壬生操車場の近く)で映画『ヒゲの校長』のミニ資料展を開催します。
おもちゃ映画ミュージアムのQRコードです。ミュージアムのQRコード


昨夜谷進一監督から額装する展示物第一弾を受け取りました。

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撮影の様子を撮った写真の他に、小川和久さんが描いてくださったイラスト5作品もあります。スタッフや出演者の皆さんの特徴をよくとらえて描かれていると思います。ハンドルを握っているのが谷進一監督ですね。

小川さんは子どもの頃から絵を描くのが大好きだったという聾の方です。私どもが発足した2020年に最初の事業「語りと映画で知る『ストーマ』のこと」を実施した折、
小川和久さんに下掲リーフレット用にイラストを描いて貰いました。
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これが八つ折りの「日常で使う手話イラスト50 やってみよう手話」です。残部の関係で11月3日ご希望の方に配布させていただきますので、ぜひ使ってみて欲しいです。

他に人気がある小畠由佳理さんのイラストも3日に届く予定です。後は映画で用いた衣装や小物、もちろん台本なども展示しますので、ぜひ期間中に見に来てくださいね。

恐縮ですが、施設維持のために入館料500円(障がい者手帳持参の方は50円引き)が必要で、中学生は300円、小学生以下は無料です。月・火曜休館。期間中は原則10時半~17時まで開館していますが、9日(日)、15日(土)、29日(土)は催しと重なるため、他の開館日にゆっくりご覧いただけると嬉しいです。どうぞ、宜しくお願いいたします。

展示をご覧になって映画への期待をどんどん膨らませていってくだされば嬉しいです‼

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2020年5月に発足した「共に生きる会」は、仲間3人で始めたとても小さな団体です。でも志は高く、誰もが自分の人生を肯定し、前向きに生きていける世の中をつくるために、ほんの僅かでも貢献できたらと願ってスタートしました。

1年目は2020年11月21日に声優の真山亜子さんをお招きして「語りと映画で知る『ストーマ』のこと」をしました。オストメイト(人工肛門、人口膀胱を造設している方のこと)の方々の苦悩を知って頂き、理解を広めたいと思ったのです。内容については、振り返り記事を書いていますので、お時間があるときにお読みいただければ嬉しいです。

2年目は旧優生保護法(1948-96年)下で障がい者らに不妊手術が強いられた問題を取り上げて、2021年6月6日に「映画『ここにおるんじゃけぇ』から強制不妊問題を考える」をしました。この問題については、このブログで関連記事を掲載するなど、強い関心を持ち続けています。

そして3年目の今年は、副代表を引き受けてくださっている谷進一監督の最新手話映画『ヒゲの校長』を、素敵なNISSHA本館レセプションルームでご覧いただく特別の取り組みです。チラシにも載せましたが、同本館は1906(明治39)年に建てられた116年の歴史を誇る国・登録有形文化財です。

100年前、アメリカで始まった口話教育を日本でも普及させようと国は手話を否定して、口話法を押し進めます。「ヒゲの校長」とは、実在した大阪市立聾唖学校長高橋潔(1890-1958年)のことを指します。高橋校長は手話を全否定するのではなく、手話を用いながら、口話法や指文字も用いる柔軟な姿勢で聾の子どもたち一人ひとりに合った教育をしようと奔走します。この映画は“手話の父”とも呼ばれる高橋潔とその仲間たちのお話で、全編字幕付きで上映します。

コロナ禍の煽りを受けて、撮影が予定通りに運ばず難航していましたが、どうにか間に合うようでホッとしています。この作品は制作資金獲得のためにクラウドファンディングに初挑戦し、賛同いただいた方を対象に10月22日に京都市内で先行上映されますが、「共に生きる会」では、それに引き続いての一般公開となります。

Coda(聾者の両親を持つ子ども)の尾中友哉さんが高橋校長先生役で映画初出演されるほか、主な出演者の4割が聾者や難聴者の方です。

こういった事情も含めて、8月28日付け読売新聞三社面で映画の紹介記事が掲載されました。なお、先駆けて8月23日付け東京本社発行夕刊でも同じ内容で掲載されています(写真の上でクリックすると、拡大して読むことができます)。
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もっと早い4月23日付け毎日新聞京都版でも掲載されました。
毎日新聞京都版2022年4月23日付け - コピー

下掲は4月1日付け朝日新聞夕刊社会面から。記事の最後に載っている前田浩さん(谷監督と共同脚本)のコメントが良いです。「世界中が戦争にあけくれた時代に、聞こえない人の人権を守る教師たちがいて、今日の多様性に通じる視点を主張していた事実を伝えることに、映画の意義がある」。
2022年4月1日朝日新聞夕刊

さらに遡って、京都民報1月9日付けでも掲載して頂きました。
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11月3日の事業は、一生懸命申請書作成に挑戦した結果、京都府地域交響プロジェクト交付金と京都市人権啓発活動補助金を受けることができました。もう一団体の公益財団法人京遊連社会福祉基金助成金は申請中です。

それらの申請書にも書いたことですが、かつて西陣織の企業に手先が器用な聾者が多く働いておられ、織機の大きな音がする中で意思疎通を図ろうとして手話が誕生したと伝え聞いています。「へぇ~、京都は手話発祥の地だったのか!」と思っていましたら、鳥取県も手話発祥の地を名乗っておられるそうで、全国手話パフォーマンス甲子園が毎年開催され、知事ご自身も手話がお出来になるとのこと。京都か、鳥取か、あるいは別のところか、昔のことなので、どこが発祥の地なのかはわかりませんが、それはともかく、誰もが手話を使える“普通のもの”になっていけば良いなぁと願います。

協力団体、後援団体も7団体に。どの団体さんも「関連団体に広報してあげる」と仰ってくださって胸を熱くしています。嬉しいです💗

今回の催しを国・登録有形文化財の本館をお借りして実施できることに関しては、一般財団法人NISSHSA財団専務理事/NISSHA印刷歴史館館長の小西均様のお力添えによります。たまたま骨董市で“満洲”移民を促進する目的で作られたと思われる16㎜フィルムを見つけたことから、2020年8月に私が普段活動している「おもちゃ映画ミュージアム」で「『満洲国』って、知っていますか?」展をしました。小西様がその展覧会を見に来てくださった折にいろんな話をさせて頂き、流れで、私が近代建築物が好きなこともあり、いつも四条通りからNISSHAさんを見ながら、撮影などできたら良いなぁと憧れのまなざしで見ていることを伝えました。

その思いに応えてくださって見学の機会を設けて下さり、その時今回の会場となる「レセプションルームで上映会ができたら良いなぁ」という夢を膨らませました。今年再度見学させていただき、実現へ向かって進みました。本館建設当時は上映会をもちろん想定していなかったので、遮光の工夫が必要でしたが、無理な願いながら、暗幕の設置にも応えてくださいました。11月3日の上映会は一般財団法人NISSHA財団様のご協力なしでは設計図を描くことができませんでした。このことに関して心より御礼を申し上げます。

さらに、当日は本館1階の印刷歴史館も見学させていただけることになりました。グーテンベルク印刷機(複製)、ゼネフェルダー石版印刷機(実機)、ハイデルベルグ活版印刷機(実機)等々貴重な資料を間近でご覧いただけるチャンスです。第1部終了後、あるいは第2部開始前にぜひどうぞ‼

というわけで、晴れの特異日を期待して選んだ11月3日(木/祝)は、歴史的建造物と印刷の歴史、そして手話の歴史の3つを学べる「文化の日」にふさわしい一日となります。どうぞ、お誘いあわせてご参加下さいませ。

上映後には、エンディング曲を歌っている「中川由奈feat一文字鷹」による「光の音色₋手話が拡がる明日を信じて-」歌と手話表現歌のライブ、最初の年に作った八つ折りリーフレット「日常で使う手話イラスト50 やってみよう手話」をお配りして、実際に手話の体験もしてもらいます。

充実内容でお送りする催しは、14時開始(13時半開場)の第一部と17時開始(16時半開場)の第二部の構成です。会場は広いのですが、コロナ感染拡大防止のため定員をキャパの半分に設定しています。参加費は一律1500円です(当日現金でお支払いください)。お申し込みは電子メール:fumiyo@toyfilm-museum.jpまたは電話075₋803₋0033、あるいはfax075₋803₋0034でお願いいたします。駐輪場もありますので、自転車での来場も可です。

なお、10月5日(水)~30日(日)関連企画として、おもちゃ映画ミュージアムで『ヒゲの校長』の資料を展示します。月・火曜以外の10時半~17時です。入館料は高校生以上大人500円、中学生300円、小学生以下無料です。詳細をチラシに盛り込めなかったこと申し訳けございませんが、この資料展も併せてご覧いただければ幸いです。

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